シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、同学土木環境工学部(CEE)の研究者が都市の課題に取り組むため、高度な技術と革新的な材料を使用し、地下と海上のそれぞれで重要インフラを強化するためのプロジェクトに取り組んでいることを発表した。
(出典:NTU)
世界の人口爆発に伴い、都市の土地不足に対処する必要がある。CEEの研究者らはこの課題に対し、地下空間の活用、そして地球温暖化に伴う海面上昇から低地を保護するための研究を行っている。各プロジェクトでは、学際的な取り組みを行うアーバンソリューションセンター(CUS)の支援の元、地下建設のコスト削減や、安全性を高めるための新しいデジタルプラットフォームの開発、海面上昇に適応するための環境に優しい建築資材の開発などが進められている。
CUSの地下エンジニアリングクラスターを率いるウー・ウェイ(Wu Wei)准教授は、予測不可能な地下を管理するためのデジタルソリューションの開拓に、部門横断的なチームで取り組んでいる。人工知能(AI)を活用して空洞や岩などの地下構造物を正確にマッピングする方法を開発し、機械学習を用いた自律的な異常検出技術を目指している。
また、CEE議長兼CUSディレクターのチュー・ジアン(Chu Jian)教授は、シンガポール沿岸保護・洪水レジリエンス研究所の下で、海岸線の安定性の改善と沿岸保護のための持続可能な材料の検討に関する2つの研究プロジェクトを主導している。これらの取り組みの1つにバイオセメントがあり、これは廃棄物から生成される耐久性と持続可能性を備えたセメント代替品として、循環型経済に貢献するものだ。
ジアン教授は、産業界や政府との戦略的協力によって支えられているCEEとCUSの研究活動について「研究プロジェクトの多くは、国のニーズに直接対応する政府機関や産業界から資金を受けて行われています。全ての研究が、気候変動に対する都市の回復力を高めることに貢献しています」と述べた。
(2024年12月2日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部