2025年01月
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自己修復や発光、磁気特性を備えたフレキシブルファイバーを開発 シンガポール

シンガポール国立大学(NUS)は、同大学デザイン工学部(CDE)材料科学工学科の研究チームがNUSヘルス・イノベーション&テクノロジー研究所(iHealthtech)と共同で、自己修復や発光、磁気特性を備えたフレキシブルファイバーを開発したことを発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

SHINEファイバーを開発したベンジャミン・ティー(Benjamin Tee)准教授(右)ら

発光ファイバーは、ソフトロボティクスやウェアラブル機器、化学繊維の1種であるスマートテキスタイルなどのテクノロジーを補完する可能性があるものとして、注目されている。

開発されたハイドロゲル被覆のイオン伝導性ニッケル・コア・エレクトロルミネセント(SHINE)ファイバーは、曲げることができ、視認性の高い光を発する。また、切断しても自動的に修復し、元の明るさに戻ることができ、ワイヤレスで電力を供給し、磁力を使って操作することもできる。このファイバーは1つのデバイスに複数の機能が組み込まれており、発光するソフトロボットファイバーや双方向性を持ったインタラクティブディスプレイなどの用途が考えられる。

SHINEファイバーは伸ばしてストラップに編むことができ、スマートテキスタイルやソフトロボットへの応用が考えられる
(提供:いずれもNUS)

研究チームの主任研究員であるベンジャミン・ティー(Benjamin Tee)准教授は、「今日のほとんどのデジタル情報は発光デバイスを通して伝送されています。私たちは、光を発することができる持続可能な素材の開発に関心があり、スマートテキスタイルに利用されている繊維のように、さまざまな応用が考えられる新しい素材を探しています。持続可能な発光デバイスを設計する1つの方法は、皮膚などの生体組織と同じように、自己修復を可能にすることです」と述べた。

研究チームは今後、ファイバーの磁気操作の精度を向上させ、より器用なロボットアプリケーションの実現を目指している。また、温度や湿度を検出する機能をSHINEファイバーで織られた発光テキスタイルに組み込むことが可能か検討している。

(2024年12月6日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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