2025年01月
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気候変動に対するNTU地球天文台の取り組み シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、NTU地球天文台(EOS)のディレクターであるベンジャミン・ホートン(Benjamin Horton)教授がNTUの研究・イノベーション誌Pushing Frontiersの中で、気候変動に対するEOSの取り組みを示したことを発表した。

2008年にEOSがNTUの研究センターとして設立されて以降、東南アジアでは、地震などの自然災害に対する備えが強化されてきた。しかしながら、熱波の最中に地震が発生したらどうなるだろうか。EOSはこうした問題に今後ますます取り組む必要があると、ホートン教授は考える。

ホートン教授は、2018~2021年にかけて、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書の編集者を務め、現在も次期報告書の作成に携わる。また、2023年2月にはシンガポール初の南極科学ミッションを指揮した。ホートン教授はPushing Frontiersのインタビューに対して、気候変動に対するEOSの取り組みについて、次のように述べた。

(出典:NTU)

「私たちは、政策立案者や官民のパートナーシップに対して、気候変動が医療や金融システムなどの分野に与える影響を理解してもらうにはどうすればよいかを考えています。例えば、気温上昇などによるエルニーニョ現象が東南アジアの金融市場に与える影響を研究しています。

また、気候変動の影響を動画や音声などの媒体を通じてより効果的に伝える方法を考えると共に、気候変動に関する誤った情報の問題についても研究しています。こうした取り組みが重要なのは、気候変動に関する学術論文や政策報告書を執筆し、人々に行動を促すという方法が思うようにいかないためです。私たちは、共に行動することに同意することによってのみ、適切な解決策を見つけることができます。

私たちはまず、社会的・経済的利益が明らかな気候危機への取り組みについて、共通の物語を作る必要があります。2つ目は、気候変動対策に関わるセクターや地域、コミュニティ間の信頼を構築し、コミュニケーションを改善し、ネットゼロ排出量への取り組みに対する説明責任を強化する必要があります。3つ目は、最も重要なこととして、環境破壊に最も責任のある人々と、環境破壊によって最も影響を受けている人々を結びつけることです」

(2024年12月9日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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