2025年01月
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サイボーグ昆虫の群れを制御する技術を開発、日本と共同研究 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は1月6日、NTU、大阪大学、広島大学の研究者らが、サイボーグの昆虫が困難な地形を移動する際に、立ち往生するのを防ぐための高度な群れナビゲーションアルゴリズムを開発したと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

(出典:NTU)

このサイボーグ昆虫は、光学カメラや赤外線カメラなどのセンサーやバッテリー、通信用アンテナで構成された小型電子機器を背中に装備しており、特定の作業のために遠隔操作で昆虫を制御することできる。この新しいアルゴリズムは、ロボット工学に大きな進歩をもたらし、災害救助や捜索・救助活動、インフラ点検などへの道を開く可能性がある。

NTU機械・航空宇宙工学部の佐藤裕崇教授は2008年、1匹のサイボーグ昆虫の制御を初めて実証した。しかしながら、1匹の昆虫では、地震発生後の捜索救助のように、生存者が散らばり、72時間以内に場所の特定を行う任務のような作戦には不十分であった。今回の新しい群れシステムは、1匹のサイボーグ昆虫が19匹の昆虫を導くグループリーダーとして機能するリーダー・フォロワーダイナミクスを使用している。

発表論文の共同執筆者である広島大学の小蔵正輝教授と大阪大学の若宮直紀教授は、サイボーグ昆虫の群れを制御するアルゴリズムとコンピュータープログラムを開発し、NTUの佐藤裕崇教授らのチームは群れを構成するサイボーグ昆虫を準備した。彼らは、サイボーグ昆虫の背中に装備した小型電子機器にアルゴリズムを実装し、シンガポールで実験を行った。

研究者らは、この実験を通して、サイボーグ昆虫がより自由に動けるようにすることで、障害物に引っかかるリスクを減らし、動けなかったり、ひっくり返ったりするサイボーグ昆虫を助けることが可能になることを、新しい群れアルゴリズムの利点として示した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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