フィリピン科学技術省(DOST)は1月10日、フィリピン原子力研究所(DOST-PNRI)が国内の放射線処理を推進するため、イラジエーション・ソリューションズ(ISI E-BEAM)社と了解覚書(MoU)を締結したと発表した。
(出典:DOST)
DOST-PNRIは、原子力研究とサービスおよび規制における国の主導的機関で、国内の原子力科学技術の安全かつ平和的な応用を推進し、規制することを目的としている。ISI E-BEAM社は、リサール州タナイで国内初となる商業規模の10MeV電子ビーム施設を運営し、食品、製薬、医療産業向けにサービスを提供している。
電子ビーム技術は、製品の品質を向上させ、保存期間を延ばし、安全性を確保するために利用できる電離放射線の最先端応用技術だ。DOST-PNRIとISI E-BEAMはMoUのもと、研究、開発、イノベーションのための電子ビーム技術の応用において、データの生成、新たな知識の確立、持続可能な開発のための新技術の応用を促進し、研究開発を実施することにより、相互に支援する予定だ。また、両機関は、フィリピンの科学技術に基づく産業が近隣諸国との競争力を維持できるよう、照射産業への民間投資を促進するという相互の目的も表明した。
DOSTのレナート・U・ソリダム(Renato U. Solidum Jr.)大臣は、「このパートナーシップは、民間セクターを巻き込んで市場にイノベーションをもたらし経済成長を推進するDOSTの絶え間ない努力の成果です。この協力により、電子ビーム技術の利用を通じた研究開発と製品開発がより強固なものになることが期待されます。最終的には、賞味期限が長く、微生物に汚染されていない、より高品質の製品が私たちの家庭や食卓を支配することになるでしょう」と述べた。
両機関は、技術協力の強化という相互の目標を達成するため、科学者、技術者、対象分野の専門家の間で、研究開発における共同活動を組織化し、データ共有の促進や研究施設の評価などに取り組む計画だ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部