シンガポールの南洋理工大学(NTU)は1月27日、NTUとオランダのデルフト工科大学(TU Delft)の研究チームが世界の二酸化炭素排出量が増加し続け、高排出シナリオに達した場合、2100年までに海面が0.5~1.9m上昇する可能性が高いと予測したことを発表した。研究成果は学術誌Earth's Futureに掲載された。
(出典:NTU)
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の予測では0.6~1.0mの海面上昇を想定しているため、今回の予測は上昇値が90cm高いものとなっている。また、IPCCの予測は66%の確率で発生する予測となっているが、今回の予測は90%の確率で発生する予測であり、従来の予測を補完するものとなっている。
IPCCによる予測値は、気候プロセスをモデル化するさまざまな手法に依存している。氷河の融解のような理解が進んでいる現象もあれば、突然の棚氷崩壊のような不確実性の高い事象も組み込んでいるため、可能性の高い海面上昇予測を示すことができない。
一方で、研究チームはフュージョンアプローチと呼ばれる新しい予測手法を開発した。この手法では、既存のモデルの長所と専門家の意見を組み合わせることで将来の海面上昇をより明確で信頼性の高いものとすることができる。研究チームは、この新しい方法が情報のギャップを埋め、IPCCの最新の報告書を補完することができると考えている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部