2025年03月
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AIを活用したスクリーニングツールで軽度認知障害を効率的に検出 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は2月4日、NTUからスピンオフしたグレイマターソリューションズ(Gray Matter Solutions)社が、シンガポールでプレミアムヘルス&ウェルネス事業を手掛けるオズラー・グループ(Osler Group)と提携し、人工知能(AI)の活用によって軽度認知障害(MCI)を低コストで効率的に検出する新しいスクリーニングツールを提供すると発表した。

(出典:NTU)

認知症の初期段階にある人は、軽度の記憶障害や、複雑な作業や意思決定に苦労することがある。これらの症状はわずかなもので、日常生活に大きな支障をきたすことはないため、早期の発見を難しくしている。

従来、MCIの診断における絶対的基準は、神経心理学的評価や磁気共鳴画像法(MRI)などの画像診断が用いられてきた。しかしながら、これらの診断には1000ドル以上のコストと数時間程の時間を要する。一方、NTUリーコンチアン医科大学(LKCMedicine)が開発したReCOGnAIzeという名称のAI搭載スクリーニングツールは、神経科学的ゲームを利用し、わずか15分で認知障害の初期の兆候を特定する。

このAI搭載スクリーニングツールは、LKCMedicineの認知症研究センターにおける12万5000時間を超える研究によって開発された。このツールは、臨床的に関連する認知領域や行動領域を含めて特別に設計された4つのゲームで構成されている。アジアにおいては、高血圧などの慢性血管疾患を持つ推定2億5000万人がMCIを発症するリスクがあることから、このAI搭載スクリーニングツールは、シンガポールだけでなく世界的な利用が期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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