インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)は2月9日、口承文学の古い形態であるパントゥンを保存するための文化戦略を策定する国際セミナー「パントゥン・ヌサンタラ:デジタル時代における文化遺産を守るための文化戦略」を2月10~11日にジャカルタのBRINサルウォノ・プラウィロハルジョジョ科学エリアにて開催すると発表した。
グローバル化と近代化が進む中、パントゥンの存在は外国文化の急速な浸透や人々のライフスタイルの変化によって脅かされている。インドネシアにおけるパントゥンの普及は非常に広範で、ほぼすべての部族に浸透している。このヌサンタラ文化遺産は、2020年12月20日にユネスコの無形文化遺産として認定されている。
考古学・言語・文学研究機関の責任者であるヘリー・ジョーガスワラ(Herry Jogaswara)氏は、「パントゥンは、韻を踏んで自然に口ずさむことができるため、言語の知性を表現するものです」と説明した。パントゥンは、インドネシアの文化的伝統に根を下ろしており、コミュニケーション、教育、社会批判、娯楽の媒体として機能している。独特な美学を持つパントゥンは、意味に満ち溢れている。ヘリー氏は、「パントゥンは維持され、次世代に受け継がれるべき地域の知恵の価値観を反映しています」と述べた。
BRINの写本・文学・口承伝統研究センターの所長であるサストリ・スナルティ(Sastri Sunarti)氏は、パントゥンを保存してこの時代のデジタルツールとパントゥンの関連性を維持する必要があると考える。国際セミナーには、インドネシア、マレーシア、ブルネイ・ダルサラーム、シンガポール、オランダから専門家が集まり、パントゥンを保存するための文化戦略を策定するために、さまざまな関係者が議論に参加した。このセミナーの目的は、パントゥンの伝統を復活させるだけでなく、教育、文化外交、現代的なイノベーションの不可欠な一部として位置づけることである。
スナルティ氏は、「さまざまな民族の財産としてパントゥンを探究し、理解することで、デジタル時代におけるパントゥンの保存のための文化戦略を策定し、国の文化的なアイデンティティを強化することも目的としています」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部