シンガポールの南洋理工大学(NTU)は3月4日、研究者らが国内北部イーシュン地区のセンバワン温泉南東において、高度に破砕され水が飽和した地熱地下貯留層の証拠を発見したことを発表した。研究成果は学術誌Engineering Geologyに掲載された。
現地でセンサーや案内板を設置する調査チーム
(出典:NTU)
NTU物理・数理科学部と同学シンガポール地球観測所の研究チームは、シンガポール北部における地熱資源の可能性を探るため、最先端の地震探査イメージング技術を活用し、深さ約4kmの地熱貯留層を特定した。この貯留層は、地下深部の帯水層から供給される地下水によって維持されており、持続可能な熱源としての可能性がある。
この研究は、シンガポールで初めて非侵襲的な地球物理学的調査によって地熱貯留層の存在を確認する証拠を提供した画期的なものである。
今回の発見は、イーシュン地区でのさらなる地熱探査の科学的根拠を確立するものであり、シンガポールの電力需要増加に対応するグリーンエネルギー資源の開発に貢献する。政府が掲げる2050年までの炭素排出量正味ゼロの目標達成を後押しするものである。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部