シンガポールの南洋理工大学(NTU)は3月27日、シンガポール国立研究財団(NRF)の支援を受け、RNA生物学とその応用の戦略的研究能力を構築するための国家プログラム「RNA生物学およびその応用に関する国家イニシアチブ(NIRBA)」の立ち上げを発表した。
NIRBAはNUS、A*STAR、NTU、デュークNUS医学部などの一流機関と共同でRNA生物学とその応用における戦略的研究能力を構築する
(出典:NTU)
発表は、同財団の会長でもあるヘン・スイキャット(Heng Swee Keat)副首相により行われた。NIRBAは、RNA科学を国家戦略に位置付け、将来の健康・経済ニーズに応える研究基盤の確立を目指すもので、NRFから7年間で総額1億3000万シンガポールドルの資金が投入される。プログラムには、NTUの他、シンガポール国立大学(NUS)、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)、デュークNUS医学部など、一流研究機関の科学者や臨床医が参加する。
RNAは、全ての生物および多くのウイルスに存在し、DNAからの遺伝情報をタンパク質に翻訳する重要なメッセンジャーとして機能する。近年の研究により、多様な構造を持つRNA分子が驚くべき生物学的機能を果たすことが明らかになっており、ヒトの健康や疾患との関係でも注目が高まっている。そのため、RNA生物学とその応用はシンガポールの健康と経済にとって極めて重要視されている。
NIRBAは、以下を主な目標として掲げている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部