マレーシアデジタルエコノミー公社(MDEC)は3月28日、零細・中小企業(MSME)のデジタル化を推進する「ビジネス・デジタル化イニシアチブ(BDI)」を強化し、産業界からの支持を得たことを発表した。
BDIは、マレーシア全土のMSMEがデジタル経済への適応力を高め、成長と競争力を獲得するための支援策であり、約15億リンギットの資金のもと、金融機関やデジタルバンク、ピアツーピア(P2P)融資プラットフォーム、地元のサービスプロバイダーなどとの戦略的官民パートナーシップを通じて、企業の成長を後押しするものだ。マレーシアのゴビンド・シンデオ(Gobind Singh Deo)デジタル相は、「BDIはマダニ経済政策(国際競争力向上や投資誘致強化などを通じ、GDP成長5.5%以上を目指すもの)の一環であり、MSMEが革新的なテクノロジーを活用することで、より高い生産性と業務効率を実現できるよう支援します」と述べた。この取り組みの具体策として、MDECの認定を受けた21社のサービスプロバイダーが、Peppolフレームワークに基づく電子請求書発行ツールを提供しており、財務プロセスの効率化やコンプライアンス向上に寄与している。
MDECのアヌアル・ファリズ・ファジル(Anuar Fariz Fadzil)CEOは、「BDIはMSMEに対し実践的な支援を通じて、競争力を強化します。スキル不足や資金調達の課題に対応し、現実的かつ効果的なソリューションを提供します」と語った。この方針に産業界も呼応している。CTOS Data Systems社のリー・シン・メイ(Lee Shin Mei)COOは、BDIの意義を認めたうえで、官民が連携することで実効性のある支援が可能になると評価した。BigLedger社のヴィンセント・リー(Vincent Lee)CEOも、電子請求書ツールの活用がMSMEの国際的なサプライチェーン参加への鍵になると指摘した。
MDECはSMEコープ・マレーシア社をはじめとする業界パートナーと複数の了解覚書(MoU)を締結し、MSMEのデジタル変革支援に向けた体制の強化を進めている。このような取り組みを通じて、今後のMDECは適切なデジタルソリューション、専門知識、資金調達の機会をビジネスに結びつける協力的エコシステムを育成していく構えだ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部