フィリピンのグローブ・テレコム(Globe Telecom)社は2025年第1四半期に国内の主要都市を中心に新たに235カ所の5G基地局を設置し、マニラ首都圏では98.71%、ビサヤ諸島とミンダナオ島の主要都市では97.97%のカバー率に拡大すると発表した。国営フィリピン通信社(PNA)が5月21日に伝えた。
グローブ・テレコム(Globe Telecom)社が建設した太陽光発電セルサイト
Photo courtesy of Globe (出典:PNA)
この拡大により、5G対応端末950万台以上に対して、高速かつ安定した接続環境を提供できるという。また、5Gのほかにも、487基の携帯電話基地局を建設し、既存の3940基をLTE対応にアップグレードした。32T32R Massive Multiple-Input Multiple-Output(MIMO)などの最新技術を導入することで、都市部の混雑地域でも通信速度と安定性を向上させている。
さらに、民間部門諮問委員会(PSAC)主導の「コネクティビティ計画タスクフォース」の一環として、地理的に孤立した不利なエリア(GIDA)にも600カ所の通信拠点を展開する。年内にはこの数を700カ所に増やす計画で、国内のデジタル格差の是正を目指す。
グローブ・テレコム社の社長兼CEOであるカール・クルーズ(Carl Cruz)氏は「高速通信網の拡大は、フィリピン国民全員が、どこにいても未来にアクセスできるようにすることです。これはAI(人工知能)のような未来の技術を支える鍵であり、5Gデバイスの価格が下がるにつれて、より多くの人々がこれらの進歩にアクセスできるようにしたいと考えています」と述べ、インターネットへの接続の権利としての重要性を強調し、AIなどの次世代技術に対応するインフラ整備の意義を訴えた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部