2025年06月
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セキュリティ機能レジストリロックの活用でドメイン保護を推奨 ベトナム

ベトナム科学技術省(MoST)は5月22日、MoST傘下のベトナム・インターネット・ネットワーク・インフォメーションセンター(VNNIC)が、ドメイン名の不正操作やDNSハイジャックから保護するため、レジストリロック(Registry Lock)と呼ばれるセキュリティ機能の活用を企業・個人に向けて正式に勧告した。

これは2025年5月初旬に発生した大手ECサイトのドメイン乗っ取り事件を受けた措置だ。この事件では、ベトナムの大手eコマースプラットフォームのウェブサイトがギャンブル関連ページへリダイレクトされた。これは、ユーザーを欺き、機密データを盗み出すために設計されたもので、VNNICの技術チームによれば、原因はレジストラ管理システム経由でDNSサーバーが変更され、ドメインの設定が不正に書き換えられたことにあるという。攻撃の背景には、ドメイン管理用アカウント情報の漏洩があると見られている。

VNNICの専門家によると、レジストリロックを使用していれば、仮にログイン情報が漏洩したとしても、DNS設定やドメイン情報の変更、譲渡、削除などの重要操作は事前にVNNICによる厳格な確認プロセスが必要となるため、自動的な変更は不可能となる。しかし、同機能の利用率は低く、約65万件ある「.vn」ドメインのうち、レジストリロックを導入しているのはわずか4000件程度にとどまっている。このギャップを埋めるため、VNNICは5月20日付でドメイン所有者に対して、レジストリロックの積極的な活用を公式に勧告した。

VNNICのサービス開発責任者であるタイ・フー・リー(Thai Huu Ly)氏は「レジストリロックは.vnドメインにおける最先端のセキュリティ機能であり、ドイツ、フランス、日本といった国際的な水準と同等です」と語る。VNNICは特に大企業や金融機関、報道機関、政府関連機関など、重要性の高いドメインを保有する組織には導入を強く推奨している。

また、レジストリロックは不正アクセスから守るだけでなく、ドメインを基盤とするウェブサイト、メール、決済、電子政府サービスなどのインフラ全体の安全性とブランド信頼性を守る上で重要な役割を果たす。サービスの利用料金も安価で、たとえばドメインレジストラのPA Vietnamでは月額3万8000ドン(約1.5ドル)で提供されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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