2025年06月
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塗装スプレーブース廃水処理装置の特許取得、環境汚染防止に寄与 フィリピン

フィリピン科学技術省(DOST)は5月23日、DOST傘下の森林産品研究所(DOST-FPRDI)が湿式塗装スプレーブースから排出される廃水を処理する装置とその処理方法について、フィリピンの知的財産局(IPOPHL)から特許(発明特許番号1/2022/050420)を取得したと発表した。

RSU Manufacturing Corporation社に設置された湿式FSBスプレー用排水設備
(出典:DOST)

本技術は、家具・手工芸品製造で使用される塗装用スプレーブースからの廃水に含まれる芳香族化合物やベンゼン誘導体、アルコール、シロキサン、有機酸などの有害物質を効果的に処理するものであり、未処理の廃水がそのまま排水路や周辺水域に流されることで生じる環境汚染の防止に寄与する。特許取得により、同装置および処理プロセスに基づいて生産された製品に関して、DOST-FPRDIは製造・販売・輸入を制限する独占的権利を有することになる。

本装置は、2023年に韓国ソウルで開催されたソウル国際発明フェアにおいて、タイ国立研究評議会より最優秀国際発明・イノベーション賞を受賞するなど高い評価を受けている。装置の開発は、DOSTの研究開発機関と産業界のための国内経済を活用した共同研究開発(CRADLE)プログラムを通じて2020年に始まり、パンパンガ州の家具・手工芸企業RSU Manufacturing Corporation社が産業パートナーとして参画している。

DOSTのレナート・U・ソリダム(Renato U. Solidum Jr.)科学技術相は「この装置は、環境と産業の課題に同時に取り組む上で、科学技術がいかに貢献するかを実証しています。今回の措置により、このようなイノベーションが保護されるだけでなく、地域産業に効果的に統合されることが保証されます」と述べた。FPRDIのリコ・J・カバンゴン(Rico J. Cabangon)所長は、「特許の取得は、技術の普及と産業導入を確実にするための不可欠な要素です。特許はイノベーションを保護し、メーカーに安心感を与え、導入の可能性を高めます」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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