シンガポールの南洋理工大学(NTU)は6月18日、世界保健機関(WHO)と共同で、食品安全リスク評価能力を高める新プロジェクトの開始を発表した。
6月18日の調印式(後列左から)モエズ・サナア(Moez Sanaa)博士、リム・チュアン・ポー(Lim Chuan Poh)委員長、リム・カー・レオン(Lim Kah Leong)副学長(前列左から)シモーネ・モラエス・ラズル(Simone Moraes Raszl)博士、ウィリアム・チェン(William Chen)教授
(出典:NTU)
本プロジェクトは、WHOの「食品安全世界戦略2022~2030」を支援するものであり、人工知能(AI)やデジタルモデリングなどを活用した新たなアプローチ方法論(NAM)を導入し、食品安全基準の近代化を図ることを目的としている。
調印は6月18日、シンガポールのロイヤルプラザオンスコッツで開催されたWHO-NTU合同ワークショップの場で行われた。署名者は、NTU未来対応食品安全ハブ(FRESH)のウィリアム・チェン(William Chen)教授と、WHO食品システムにおける多部門活動担当科学者のシモーネ・モラエス・ラズル(Simone Moraes Raszl)博士である。
本取り組みは、革新的なツールと技術の導入を通じて、評価の信頼性を高めつつ不確実性を低減することを目指している。また、急速に進化する食品システムに対応するため、各国の能力強化にも資する。
WHO食品栄養基準・科学的助言ユニット長のモエズ・サナア(Moez Sanaa)博士は「AIなどの先端技術により複雑化する食品のリスク評価が効率化され、より安全な供給に貢献できるでしょう」と述べた。
NTU のリム・カー・レオン(Lim Kah Leong)副学長(生物医学・生命科学担当)は、「バイオ医療分野の研究資産を活かして、世界の食品安全向上に寄与したい」と意欲を語った。
協定の調印には、シンガポール食品庁(SFA)のリム・チュアン・ポー(Lim Chuan Poh)委員長も立ち会い、政府としての支援姿勢を示した。国際的な食品流通が進展するなか、科学に基づいた枠組みの構築は、各国共通の課題となっている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部