2025年07月
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2030年までにデング熱による死亡者ゼロを目指す インドネシア

インドネシア政府は、保健省を通じて、2030年までにデング熱による死亡者をゼロにする目標を掲げ、2025年のデング熱対策プログラムの全国会議(P2DG)を開催したと発表した。インドネシアのポータルサイトPortal Informasi Indonesiaが6月20日に伝えた。

ロンボク島の集合住宅の排水溝で蚊の幼虫が発見されたことを受け、2025年2月に地元住民と協力して霧吹きを行う警官
MC Lombok Barat/Ivan/rasidibragi(出典:Indonesia.go.id)

インドネシア保健省の伝染病予防局長であるイナ・アグスティナ・イストゥルニ(Ina Agustina Isturini)氏は積極的な保健システムの必要性を強調し、「私たちは、敵が目の前に現れてから行動することがあります。しかし、脅威は現実のものであり、私たちの目の前にあるので、緊急事態と見なすべきです」と述べた。P2DGでは、デング熱やアルボウイルスを含めた感染症の危機に対する国家保健システムの重要性が強調された。

2024年のASEANデング熱サミットのデータによれば、インドネシアはアジアにおけるデング熱関連死亡者の66%を占め、ASEANで最も死亡者の多い国となっている。このデータは、世界保健機関(WHO)の報告でも裏付けられており、アジアにおけるデング熱関連死の大多数がインドネシアで発生していることを示している。インドネシアのデング熱が年々増加傾向にあるのは、気候変動と密接に関連している。保健省は、デング熱対策として、以下の2つのイノベーションを含めたシステムとテクノロジーの変革に重点を置く。

  • SMILE(電子物流在庫監視システム):医療物資に関わる物流のリアルタイム監視を可能にする電子システム
  • GRID(統合デング熱対策運動):タンゲラン地域で実施されているデータに基づいた早期検出、監視、迅速な対応の統合

WHOは、インドネシアの報告はシステム上の制約により、最適なレベルに達していないと指摘する。現在インドネシアはWHOの東南アジア地域事務局(SEARO)から西太平洋地域事務局(WPRO)に移行し、これまで以上に強力なデータ報告に取り組む。ファジャール氏は、「私たちのデータは長年過小報告されてきました。これからは、インドネシアのデータを明確にし、世界が私たちの直面する課題の大きさを正しく理解できるようにします」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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