2025年07月
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仏IRDとMoUを締結、環境と持続可能性に関する科学協力強化 タイNSTDA

タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は6月20日、NSTDAとフランス国立開発研究所(IRD)が環境と持続可能性の差し迫った課題に対処するための科学と教育の取り組みを再確認し、5年間の了解覚書(MoU)を締結したと発表した。

(出典:NSTDA)

締結されたMoU(2025~2030年)は、2017年から始まった共同プログラムの成功を基盤に、生物多様性研究、炭素貯留、没入型環境教育における深化した協力を推進するための枠組みである。この連携の主な成果は以下の通りである。

  • BIMOMS(多階層生物多様性モデリング:地域の野生生態系から土地被覆の変化まで)
    JEAI BIMOMSプロジェクト(2022~2024年)は、カオヤイ国立公園の微生物多様性のダイナミクスから森林遷移や土地利用変化の広域パターンまでをモデル化することに焦点を当てた若手研究者からなる学際的な研究チームを立ち上げた。このプロジェクトは、新しいMoUの下でも継続する。
  • SIMPLE(参加型学習環境を構築するための持続可能性問題のメタバース)
    このプログラムは、「BiodiVRestorer:生物多様性回復のための没入型VR体験」と題するパイロットプロジェクトを通じて、複雑な環境トピックを簡素化し、教室での取り組みを高める拡張現実と仮想現実(AR/VR)の有効性を実証した。次のフェーズでは、学習ツールを改良し、仮想体験を拡大させ、2026年の初めまでに完全なカリキュラムを完成する。
  • NATURAL FORESTORE(天然熱帯林における炭素の回収と貯留)
    このプログラムは、森林炭素貯留、メタゲノミクス、リモートセンシング、土地利用遷移に関する最先端の研究を統合した学際的プロジェクトである。気候政策の社会学的側面も取り入れられ、地球環境の課題に取り組むための枠組みを提供した。NATURAL FORESTOREは単なる研究プロジェクトではなく、森林を保護するだけでなく、気候変動と戦う力を与える未来の基礎を築いた。

調印式は、NSTDA、IRD、フランス大使館の高官が出席した。これは、タイとフランスの科学協力関係の深化の象徴であり、両国の連携に新たな章を記した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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