マレーシア工科大学(UTM)は7月5日、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)が人工知能(AI)開発の次なる潮流を生み出す重要な役割を果たすとする考えを示した。
GPUは、携帯電話やパーソナルコンピュータ(PC)などにあるコンピュータグラフィックスや画像処理を高速化するように設計された電子回路である。GPUは従来の中央処理装置(CPU)と比較して、優れた速度と効率を実現する並列処理アーキテクチャで構築されている。GPUは、このアーキテクチャにより、大量のデータを処理し、複数の計算を同時に実行する。GPUは、規模と複雑さが絶えず拡大しているAIモデルのトレーニングに不可欠なパーツである。
テクノロジー企業のエヌビディア(NVIDIA)社によると、AIモデルの複雑さは年に10倍のペースで増加しており、高性能なGPUの需要が高まっている。特定の要件や使用目的を満たすため、さまざまなタイプのGPUが開発されている。一般的なタイプのGPUには、コンシューマー向けグラフィックカードやワークステーションGPU、モバイルGPU、AIアクセラレーター、データセンターGPU、クラウドGPUなどがある。
GPUは、さまざまな業界で AI の導入を加速する優れた計算能力を提供するが課題もある。例えば、ハイエンドのGPU はCPUに比べて、電力密度が4倍高いため、熱の発生が大きくなる。この電力密度の増加は、特にAIデータセンターの大規模展開において、故障防止や安定したシステム性能を維持するための冷却システムを必要とする。
GPUは、ゲーム用グラフィックスのレンダリングから、現代のAIバックボーンとして機能するまでに進化した。しかしながら、このテクノロジーの急速な採用は、エネルギー効率や高コスト、供給不足など、さまざまな課題が生じている。AIの可能性を最大限に活用するには、これらの課題を克服する必要がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部