2025年08月
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バイオサイエンスのイノベーションで地域社会と経済発展へ フィリピン

フィリピン科学技術省(DOST)のレナート・ソリダム(Renato Solidum, Jr) 科学技術相は研究者に向けて、バイオサイエンスを探求し続け、この分野のイノベーションを活用するよう呼び掛けた。国営フィリピン通信社(PNA)が7月9日に伝えた。

DOSTのレナート・ソリダム(Renato Solidum, Jr) 科学技術相
(出典:PNA)

同相は、National Academy of Science and Technology(NAST)の第47回年次科学会議において、「科学的ブレークスルーと地域社会のニーズを結び付けることで、バイオサイエンスは地域社会のレジリエンスや環境責任、経済発展を促進する学際的かつ包括的なソリューションを提供することができます」と発言した。

また、国内の医薬品開発プログラムであるTuklas Lunasプログラムを例に挙げ、地域由来の治療薬の開発や、新薬やハーブ製品の商業化の実現を目指す29の機関を支援していると述べ、「このプログラムは、在来の薬用植物や天然化合物を調査することにより、国の豊かな生物多様性を活用しています」と説明した。

DOSTが主導するバイオサイエンスプロジェクトには、アフリカ豚熱の迅速診断ツールの開発、フィリピンの薬用植物から抗ウイルス剤の候補物質の同定、病原性豚ウイルスに対するワクチン候補の設計などがある。これらのプロジェクトは、病気の発生を封じ込め、経済的損失を軽減し、食料安全保障を確保するため、地元の養豚業界の強化にとって重要である。

さらに同相は、DOSTが熱帯繊維と木材のイノベーションハブを設立したことを明らかにした。これらのハブでは、持続可能な加工方法を用いて、天然素材や地域固有の素材から高品質のテキスタイルや環境に優しい製品を生産している。また、DOSTの研究開発(R&D)センターの一部は、在来の水生・陸生動植物に焦点を当て、イノベーションを促進し地域の能力を強化する。

「バイオサイエンスを通じて地域コミュニティを強化することで、私たちはより良い健康と持続可能な資源管理を促進するだけでなく、伝統的な農村の景観を企業のイノベーションと経済機会のハブに変革しています」と同相は強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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