タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は7月15日、NSTDA傘下の国立遺伝子生命工学研究センター(BIOTEC)がタイのターク県パデーン鉱山地域の環境修復と地域活性化に向け、9件の分野横断的プロジェクトを実施したと発表した。

(出典:NSTDA)
本プロジェクトは、NSTDAおよびタイの高等教育・科学・研究・イノベーション省(MHESI)、王室主導のターク環境保全・修復学習促進プロジェクト、王室プロジェクト委員会(ORDPB)およびさまざまなネットワークパートナーの支援と協力を受けて行われた。
プロジェクトは、生物多様性の保全、農業副産物の高付加価値化、地域社会への技術移転という3領域に分類される。生物多様性プロジェクトでは、森林および薬用キノコのデータベース整備と昆虫病原菌のデータベース構築が行われた。これらは地域の微生物多様性に関する重要なデータベースとなる。
農業資材の高付加価値化プロジェクトでは、酵母発酵によるコーヒーの開発、コーヒーピールからのビネガー生成、農業廃棄物を用いたバイオレンガ製造が行われた。これらの取り組みは農作物の副産物や廃棄物を再資源化し、循環型経済の実装に貢献する。
地域社会への技術移転プロジェクトでは、有機温室によるミニトマト栽培支援、シードボールによる森林再生技術、経済的価値の高いキノコ栽培、有機農業における生物防除技術の導入が行われた。これらの取り組みは農家の自立支援と安定収入の確保を通じた地域再生を促進する。
3領域のプロジェクトの推進によりパデーン鉱山周辺の生物多様性の長期的な持続可能性を確保し、地域社会と経済の活性化や環境保全につながり、ターク県の住民に長期的な利益をもたらす。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部