ベトナム科学技術省(MoST)は8月13日、韓国ソウルでの対話において、韓国科学技術情報通信部などと共催し、科学技術、イノベーション、デジタル変革を柱とする戦略的協力枠組みを初めて確立した。
対話はトー・ラム(To Lam)書記長の国賓訪韓の一環として行われたもので、同書記長は演説で韓国の「漢江の奇跡」をテクノロジーが主導する成長の変革力の証拠として挙げ、両国の包括的戦略的パートナーシップの柱とするよう訴えた。ベトナムは科学技術、イノベーション、デジタルトランスフォーメーションを国家戦略の中核に据え、政策改革、人材育成、資金投資、国際協力を推進していることにも触れた。
特に人工知能(AI)など新興分野の人材育成に注力し、海外在住のベトナム人科学者の参画も奨励している。同書記長は、製造業アウトソーシングから研究開発(R&D)や技術移転へと協力を転換する重要性を強調し、両国の強みを活かした連携を呼びかけた。
グエン・マイン・フン(Nguyen Manh Hung)科学技術相は、科学技術開発・イノベーション・デジタル変革を統括する中央指導委員会を設立し、同書記長が委員長を務めていると明らかにした。ベトナム政府はこれら分野への予算配分を年間国家支出の1%から3%へ拡大し、さらに増額を予定している。また、ハイテク・技術移転に関する法改正を進め、外国投資家に対する優遇措置を整備している。
同相は、韓国企業にベトナムでの研修・研究開発拠点設立を促し、半導体、エレクトロニクス、通信、量子技術、新エネルギー、バイオテクノロジー、サイバーセキュリティなど幅広い分野での連携を呼びかけた。
ベトナムは今後、韓国と協力してデジタル政府プラットフォーム構築や国家データセンター設立、サイバーセキュリティ強化、国家のデジタル主権と統治能力を強化したいとしている。
韓国側からは、デジタルトランスフォーメーション、中小企業のイノベーション、国家戦略策定についての知見が共有された。また、希土類資源の回収、生産技術、共同研究開発、中小企業向け技術支援に関する提携などの提案が出された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部