シンガポールの南洋理工大学(NTU)は8月21日、NTUの研究者らが取り組む生成AI(GenAI)の新技術開発と安全性向上に関する研究成果を発表した。

(出典:NTU)
NTUは2025年に発表された米国のUS News & World ReportでAI分野世界第2位、QS世界大学ランキングではデータサイエンス・AI分野で世界第5位、アジア第1位に位置付けられている。
NTUコンピューティング・データサイエンス学部AI学科長のアン・ボー(An Bo)教授は、テキストや画像、動画を処理できる大規模言語モデル(LLM)を含むオープンソースのGenAIモデルにより、高性能AIチャットボットの導入コストが削減され、GenAIの普及に貢献していると指摘する。一方でGenAIが広く普及するまでには、さまざまな情報を効果的に統合し正確に出力することには依然として課題があると語る。
AIシステムを取り巻く安全性への懸念も高まっている。例えばハッカーが敵対的な画像を設計し、AIモデルを欺き有害な出力を生成させる可能性も考えられる。コンピューターサイエンス学部長のオン・ユー・スーン(Ong Yew Soon)教授のチームは、AIモデルが敵対的に加工された画像に対しても正確な説明を生成できる新しい手法を開発した。開発を主導した博士課程のドン・ジュンハオ(Dong Junhao)氏は「アクセス性を高める一方で攻撃に脆弱なモデルの信頼性確保が重要です」と語る。
さらに、ワン・ウェンヤ(Wang Wenya)助教授は、正しい引用を伴う応答を生成する報酬設計を導入したAIチャットボットは、ChatGPTを上回る性能を示したと報告した。同助教授は「精度が向上した将来のAIチャットボットが顧客対応や教育・医療支援、科学研究の加速など、複雑なタスクで優れた成果を上げることができるようになるでしょう」と語る。
また、アルバート・リー(Albert Li)准教授は、因果関係の理解をAIに組み込み、物語の内容を適切に解釈する能力を高める研究を進めている。これにより、AIは過去の出来事の原因説明や将来の計画立案、説得力あるストーリー生成などが可能になるとされる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部