2025年09月
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科学技術イノベーション法採択、サンドボックス制度を初めて導入 ベトナム

ベトナム科学技術省 (MoST)は8月19日、新興技術の導入と早期実証、段階的な実用化に向けた柔軟な法的枠組みを提供する科学技術イノベーション法を採択したと発表した。

科学技術革新法の採択は、ベトナムにおける科学技術の管理と発展に大きな転換をもたらすものとなる。この法律の重要なものの1つに、管理下での試験(サンドボックス)制度の確立がある。これにより、州の管理機関の監視の下、限定された範囲内で、新しいモデル、テクノロジー、ポリシーをテストするための、柔軟な法的枠組みが提供されるようになる。

サンドボックス制度は、国家機関の監督下で限定的に新技術や政策を試行できる仕組みであり、試験の原則・範囲・期間を定めるとともに、損害が発生した場合の民事・行政・刑事責任の免除条件も規定している。一方、参加組織や企業には情報提供、リスク警告、データ管理、損害補償などの義務が課され、参加者の権利保護が確保される。

この制度により、人工知能(AI)、ビッグデータ、電子商取引、フィンテック、スマート農業などの分野で企業や大学が新たな技術的ソリューションを試すことが可能となり、社会経済の発展と競争力強化につながると期待されている。ベトナムのホーチミン市経営技術大学のファム・キム・トゥ(Pham Kim Thu)副学長は「教育評価でのAI活用やブロックチェーンによる学位認証、学生支援型フィンテックなど、これまで法的制約で停滞していた取り組みが実現することを期待しています」と述べた。また、研究成果の商業化を大学・教員・企業間で利益分配するモデルや、教育(EdTech)、医療(HealthTech)、行政(GovTech)などのデジタル製品を実利用環境で試験する提案も出されている。同副学長は「大学にとって法的リスクを軽減しつつ、イノベーションの起業家精神を育む契機になります」と強調した。

一方で、分野ごとに制度を調整し、参加の任意性や企業間の公平性を確保する必要があるとされており、MoSTは今後、各セクターの特性に応じた詳細規則を策定し、政府に提出する方針を示した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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