2025年10月
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ザンボアンガ半島に地域初の先進製造センターを開設 フィリピン

フィリピン科学技術省(DOST)は9月23日、DOSTの金属産業研究開発センター(MIRDC)および第9地域事務所を通じて、ウェスタンミンダナオ州立大学(WMSU)の金属工学研究イノベーションセンター(RICME)と連携し、フィリピンのサンボアンガ半島に地域初の先進製造センター(AMCen)を開設したと発表した。

サンボアンガ市にあるWMSU金属工学研究イノベーションセンターで開催されたAMCenの除幕式に出席したDOSTのレナート・U・ソリダム(Renato U. Solidum Jr.)科学技術相(左)
Photo by: Xyrus Ivan De Gracia, DOST-STII (出典:DOST)

今回開設されたAMCenは国内で9番目となる施設であり、地域の科学・技術・イノベーションを強化する重要な一歩とされる。除幕式は地域科学・技術・イノベーション週間(RSTW)およびHANDA Pilipinas - Mindanaoの開会式の一環として開催された。

RICMEのエンジニアであるケビン・マーク・ベヘラノ(Kevin Marc Bejerano)氏によると、AMCenは地域唯一の製造技術拠点であり、学術機関と産業界の双方での研究・開発を支援することを目的としているという。同氏は「私たちは中小企業の支援にとどまらず、教員や産業界、特に学生の研究活動を促進することを目指しています」と語った。

AMCenには最新の3Dプリント装置が導入され、ラピッドプロトタイピング(迅速試作)を支援する。現在はプラスチック材料によるモデル作成に重点を置き、将来的にはフィリピンのタギッグ市にあるMIRDC本部と連携して金属材料にも拡大する予定である。同氏は「私たちの焦点はプロトタイプ作成です。産業界だけでなく、学術研究にも活用されています」と述べた。現在は、設計面での課題はあるものの、中央オフィスとの協力により対応を進めているという。経済的効果の分析は進行中だが、同氏は「AMCenはGDPへの貢献だけでなく、地域の技術力と研究力の強化に影響をもたらすでしょう」と期待を示した。

DOSTのレナート・U・ソリダム(Renato U. Solidum Jr.)科学技術相は「この施設はWMSUだけでなく、西ミンダナオ全体の発展のためのものです」と述べた。AMCenは、DOSTが掲げる「OneDOST4U」ビジョンに基づき、幸福、富の創造と保護、持続可能性の4本柱を具現化する活動の1つである。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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