2025年11月
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デジタル未来に向け国際若手未来リーダーサミットを開催 マレーシア工科大学

マレーシア工科大学(UTM)は10月13日、国際若手未来リーダーサミット(iFUTURE 2025)を開催し、人工知能(AI)が労働の未来をどう変えるか、若者が変革をどう主導するかを議論したと発表した。

同サミットの中核となる大臣フォーラム「The Impact of AI on the Future Workforce」には、UTM理事会のタン・スリ・アズマン・モクタール(Tan Sri Azman Mokhtar)会長がモデレーターとして登壇し、マレーシアのファミ・ファジル(Fahmi Fadzil) 通信相とゴビンド・シンデオ(Gobind Singh Deo) デジタル相が意見を交わした。サミットでは、2030年までに雇用の30〜39%が破壊されるという世界的な研究結果から、マレーシアでも最大62万の職が自動化され得るとの試算が示された。しかし、歴史が示すように、破壊は新たな産業を生み出すこともあると強調された。

議論は、事実の暗記から批判的思考への転換、そしてAIを前提とした人材育成へと焦点を当てた。大学を伝統的な講義室からイノベーション・エコシステムへ進化させる必要性に触れ、学生主導のハッカソンやAIクラブ、AI倫理ラボなどの構築による大学の文化の変革が紹介された。

政策面では、マレーシアはデジタル経済が2023年にGDPの23%を占め、2030年に30%を見込む中、国内企業の97%を占める中小・零細企業にもAI導入を広げる方策として、税制優遇、サイバーセキュリティ支援、スキル開発プログラムなどが紹介された。信頼の確立、データガバナンスの強化、責任あるAI立法の重要性も指摘された。

同会長は「未来は既にここにあります。AIは何でも尋ねられますが、本質は何を問うかです」と述べ、理解と文脈、問いを立てる力の価値を訴えた。また、同通信相は「若者は好奇心旺盛で恐れを知らない。それが強みです。AI時代に最も重要なのは技術的能力ではなく考え方です」と語った。同デジタル相は「政府は滑走路を整備できますが、パイロットは若者です」と呼びかけた。

フォーラムではAIは単純な技術的変化ではなく社会的変化であり、AIは人間に取って代わるものではなく、AIを理解し活用する人間こそが未来を担うというメッセージが示された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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