シンガポールの南洋理工大学(NTU)は10月24日、シンガポールの国立ヘルスケアグループ(NHG)と共同で、リーン財団の支援を受け国内初となる理学療法士(PT)向けの医療関連大学院研修エコシステム「Rehability」を発表した。

(出典:NTU)
Rehabilityは、病院および地域医療の双方で複雑化するリハビリテーション需要に対応する人材育成を目的とする、医師のレジデンシー制度を応用した階層型の臨床統合教育プログラムだ。病院と地域におけるリハビリケアの継続性向上、高度なスキルと職務権限を拡大した上級実践理学療法士の育成、キャリアパスの明確化を三本柱としている。
3段階の研修が設けられており、初期段階では地域連携に重点を置き、シンガポールのAWWAやSPDと協働して地域リハビリ研修コースを実施する。第2段階では、NTUのリーコンチアン医科大学(LKCMedicine)によるモジュール型レジデンシー研修を導入し、実務指導と講義を組み合わせて大学院資格を段階的に取得できる仕組みを設けた。第3段階では、高度実践理学療法士(APP)の専門認定制度を創設し、臨床経験豊富なPTに拡大職務領域での実践能力を付与する。修了者はNTUが授与するリハビリテーションヘルス修士号を取得し、筋骨格損傷などの診断、X線検査の読影、限定的な薬剤処方が可能になる。
リーン財団は総額408万シンガポールドルを拠出し、プログラム開発・研修費、地域理学療法士の育成、奨学金、海外専門家招聘を支援する。NHGリハビリテーションヘルス臨床学術プログラム共同ディレクターのドリーン・ヨー(Doreen Yeo)氏は「Rehabilityはシンガポールのリハビリ分野における転換点です。高度な臨床教育と上級実践職の確立を通じ、理学療法士が専門性を最大限に発揮できる体制を築きます」と述べた。リーン財団最高経営責任者のリー・ポーワー(Lee Poh Wah)氏は「リハビリ体制の強さは、療法士の力量と自信によって決まります。Rehabilityは、高度スキルを習得し、専門職としての自律性を高めるための国家的基盤です」と述べた。
Rehabilityは、病院から地域への連携を強化し、患者が自宅近くで質の高いリハビリを受けられる体制を整える。今後は作業療法士や言語療法士など他の専門職にも対象を拡大する予定である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部