2025年11月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2025年11月

宇宙に構築、カーボンニュートラルデータセンター設計モデル発表 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は10月27日、低軌道(LEO)においてカーボンニュートラルなデータセンターを構築するための実現可能な設計モデルを発表した。研究成果は学術誌Nature Electronicsに掲載された。

(出典:NTU)

NTUのウェン・ヨンガン(Wen Yonggang)教授が率いる研究チームは、太陽エネルギーと宇宙空間の冷却特性を活用し、温室効果ガスを排出しないデータセンター運用の枠組みを示した。宇宙の放射冷却と太陽光発電を組み合わせることで、高効率なデータ処理が可能になるという。

地球から約160~2000km上空の低軌道は平均温度2.7K(−270.45℃)と極めて低く、熱を効率的に放出できる。研究チームは、AIアクセラレータを搭載し軌道上でデータを処理する「軌道エッジデータセンター」と、複数衛星でAI学習などを行う「軌道クラウドデータセンター」の2モデルを提案した。

NTU発のレッド・ドット・アナリティクス(Red Dot Analytics)社と共同で構築したデジタルツインモデルでは、宇宙空間が地上よりも効率的に熱を放散できることを確認した。

シンガポールではデータセンターが国内電力使用量の約7%を占め、2030年には12%に達すると見込まれている。同教授は「無尽蔵の太陽エネルギーと極寒の宇宙環境を活用することで、軌道上データセンターは世界のコンピューティングに持続可能性をもたらすでしょう」と述べた。

研究ではロケット打ち上げを含む全工程を評価する指標「ライフサイクル炭素利用効率(CUE)」を導入し、太陽光発電による運用で数年以内に排出を相殺できるとした。NTUのルイス・フィー(Louis Phee) 副学長は「創造的で学際的な研究者が起業家と連携することが重要です」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る