ベトナム国家大学ホーチミン校(VNU-HCM)は10月31日、ホーチミン市人民委員会のグエン・ヴァン・ドゥオック(Nguyen Van Duoc)委員長率いる代表団と会合を開き、研修、研究、技術移転に加え、同学を拠点とするホーチミン市イノベーションハブ(HCMC Innovation Hub)設立に向けた包括的協力を協議した。
会合で、VNU-HCMのグエン・ティ・タイン・マイ(Nguyen Thi Thanh Mai)副学長は、同学が常に市と連携し研究・応用・技術開発に取り組んできたと述べ、同ハブを南部イノベーションエコシステムの中核とする共通ビジョンの形成を目指すと語った。ハブはホーチミン市、VNU-HCM、科学技術省をつなぐ拠点として、研究・イノベーションの推進と地域・国家の発展に寄与する位置付けが示された。
報告書では、ホーチミン市と東南部地域のイノベーションエコシステムをつなぐプラットフォームとして、政策・知識・市場を統合するトリプルヘリックスモデルに基づく構想が提示された。VNU-HCMは、政策サンドボックスの実施、トリプルヘリックス共創モデルの運用、官民ハイテクベンチャーファンド設立、政府・大学・産業・コミュニティによるクアドラプルヘリックス型運営の4項目を中核施策として提案した。
企業側では、ベトナムのGIBC社、VinaCapital社、Intel社が同ハブ構築を強く支持し、科学技術投資を促す明確な政策や、VCファンド創設、技術取引プラットフォーム整備、サプライチェーンの強化、AI・STEM・半導体など重点分野の人材育成を求めた。市の各部局も、VNU-HCMを新たな政策・仕組みの試行拠点と位置付け、研究・イノベーション支援を継続するとともに、主要分野での大学院授業料免除の検討に言及した。
ドゥオック委員長は、同ハブがホーチミン市を国家的イノベーション先導都市へ導く重要プロジェクトであると強調し、「政府・大学・産業界・地域社会が一体となり相乗効果を生み出し、最大のインパクトを達成しなければなりません」と述べた。そのうえで、市が企業と連携してVCファンドを推進し、ドンホア区・リンスアン区の土地整備を迅速に進めると表明した。
本会合は、知識・技術・政策を結びつけた地域イノベーションエコシステム構築に向け、両者の協力姿勢を再確認する重要な節目となった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部