シンガポールの南洋理工大学(NTU)は11月10日、分散型AIインフラ企業ゼロ・グラビティ(0G)社と共同で、ブロックチェーンを活用した人工知能(AI)技術を開発する共同研究センター設立に向けて、総額500万シンガポールドルの提携をすることを発表した。

(出典:NTU)
これは0G社にとって世界初の大学との連携であり、分散型AIトレーニング、ブロックチェーン統合モデル調整、有用性証明型コンセンサスメカニズムなど、多様な研究プロジェクトを推進する。企業が管理する従来の閉鎖的なAIとは異なり、誰でも検証できるオープンなAIシステムの基盤構築を目指す取り組みだ。具体的には、AIのトレーニングから出力までの全工程をブロックチェーン上に記録することで、透明性と信頼性を高める。
共同研究センター設立の発表は、0G社の最高経営責任者兼共同創設者であるマイケル・ハインリッヒ(Michael Heinrich)氏と、NTU副学長ルイス・フィー(Louis Phee)教授によって行われた。同教授は「NTUは、ブロックチェーンシステム、暗号技術、コンピューティングにおいて世界クラスの専門知識を培ってきました。0G社との連携により、誰もがグローバルに参加し、透明性を確保できる、次世代の革新的なAIスタックの設計を目指します」と述べた。ハインリッヒ氏は「NTUとの提携により、ブロックチェーンとコンピューティング研究の世界的リーダーと連携し、中央集権的なAIの独占体制を打破していきます」と語った。
共同研究は、NTU副学長のウェン・ヨンガン(Wen Yonggang)教授と、0G社最高技術責任者兼共同創設者のミン・ウー(Ming Wu)博士が主導する。研究チームは、分散型コンピューティングアーキテクチャや、データや計算資源を提供した参加者に報酬が還元される安全なAIマーケットプレイスを開発する。
本取り組みは4年間にわたり実施され、ワークショップ、ハッカソン、学生奨学金、オープンソース開発なども進められる。金融、ヘルスケア、スマートインフラなどの分野では、最初の2年間で概念実証が予定されている。
今回の提携により、シンガポールはオープンで信頼できる AI 開発の拠点としての地位を確立し、分散型インテリジェンスにおける将来の国際協力の基盤が整うことが期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部