2026年01月
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OceanXと共同でスラウェシ島北方の海山を深海探査 インドネシアBRIN

インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)は、海洋探査の世界的な非営利団体であるOceanX社と共同で、これまでに研究がほとんど行われていない地域の1つであるスラウェシ島北方の海域に分布する海山を対象とした深海探査遠征を開始したと発表した。

調査は2025年11月下旬から2026年1月にかけて実施され、環太平洋火山帯の下で機能している地質学的ダイナミクス、生物多様性、そして生態系プロセスの解明を目的としている。2024年に実施されたOceanXとBRINの共同調査では、これまで記録のなかった5つの海山の地形が明らかにされており、今回はそれを引き継ぐ形で、より大規模かつ高度な機器を用い、広範な研究目標を掲げた調査が行われる。

第1段階では、高解像度の海底地形図作成や目視観測、海底プロファイリングにより、地質学的および熱水学的特徴に焦点を当て、火山構造と地殻構造の理解を目指す。第2段階では、ROVや潜水艇、環境DNA解析、海洋観測機器を活用し、海山に生息する生物多様性と生態系の動態を解明する。画像解析にはAI技術のSeaSwipeが用いられ、種や生息環境の把握を効率化する。

BRINのアリフ・サトリア(Arif Satria)長官は、島嶼国家であり世界的な生物多様性の中心であるインドネシアが、地域の海洋科学を主導する重要性を述べ、今回の調査がインドネシアのブルーエコノミーへの変革にとって重要な基盤になると強調した。また、OceanXの共同CEO兼主任科学者であるヴィンセント・ピエリボーン(Vincent Pieribone)氏は、海山が海流形成や希少種の生息に果たす役割に触れ、インドネシア海域での共同研究の意義を示した。

今回の調査は、科学的探査に加えてインドネシアの研究開発能力の強化も目的としている。BRINの若手研究者やインドネシアの大学生を対象に、深海マッピングやサンプリング、ゲノミクス、海洋ビッグデータ解析に関する実践的な研修も行われる。調査により得られるデータは、北スラウェシ地域の海洋空間計画や地質リスク評価、生物多様性の基礎資料として活用され、研究船隊の強化を目的としたKRISNAや、海洋保護区の拡大と生態系の連結性強化を目的としたLAUTRAといった国家プロジェクトの実施にも役立つとされている。

(2025年12月2日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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