2026年01月
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マイクロニードルパッチでバイオ肥料を直接送達 シンガポール国立大学

シンガポール国立大学(NUS)は、研究者らが植物の葉や茎にバイオ肥料を直接送達する溶解性マイクロニードルパッチを開発し、温室試験でチョイサムとケールの成長を促進しつつ、従来の土壌接種より15%以上少ないバイオ肥料使用量で効果を示したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Functional Materialsに掲載された。

チョイサムを栽培する小型温室とアンディ・テイ(Andy Tay)助教授(右)

作物の栄養吸収やストレス耐性を助ける有益な細菌や菌類を含むバイオ肥料は、通常は土壌に投入されるため、在来微生物との競合や酸性度などの条件によって十分に根へ届かない場合がある。NUSの研究チームは、こうした制約を回避するため、微生物を植物組織へ直接導入する方法を検討した。

バイオ肥料を含むマイクロニードルパッチを、親指または簡単な手持ち式アプリケーターで葉の裏側や茎に押し当てる。1分以内にマイクロニードルが溶解し、有益な微生物が植物組織内に直接放出される

開発されたマイクロニードルパッチは、生分解性で、低コストなポリビニルアルコール(PVA)製だ。葉用には1×1cmのパッチに長さ約140µmのニードルを40×40配列し、茎用には約430µmのニードル列を用いた。パッチを親指や手持ち式アプリケーターで押し当てると、ニードルは約1分で溶解し、微生物が植物組織内に放出される。

マイクロニードルパッチは、生分解性で低コストなPVA製で、Streptomyces と Agromyces-Bacillus からなる植物成長促進根圏細菌(PGPR)のカクテルが含浸されている。1cm×1cmのマイクロニードルパッチ(右ペトリ皿)には、葉への適用に向けて高さ140µmのピラミッド状ニードルが40×40配列で配置されており、一方、より太い茎には、高さ約430µmのニードルを短い列状に配したパッチ(左ペトリ皿)が適している
(提供:いずれもNUS)

試験では、植物成長促進根圏細菌(PGPR)であるストレプトマイセスおよびアグロマイセス・バチルスを投与したチョイサムとケールが、未処理区や土壌処理区と比べて、地上部バイオマス、葉面積、草丈で高い成長を示した。微生物量を増やすと成長は向上したが、有効上限を超えると追加効果は確認されなかった。

研究を主導したNUSデザイン工学部生物医学工学科のアンディ・テイ(Andy Tay)助教授は、「人体の中で微生物が移動する仕組みにヒントを得ました。有益な微生物を植物組織に直接送り込むことで従来の方法よりも効果的に成長を促進しながら、バイオ肥料使用量を15%以上削減できます」と述べている。

(2025年12月9日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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