シンガポールと米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究技術アライアンス(SMART)は、高血圧や心不全などの慢性疾患を対象に、継続的かつリアルタイムで心血管の状態を計測できる世界初のウェアラブル超音波画像システムの開発を目指す共同研究プロジェクト「高齢者ケア変革のためのウェアラブル画像技術(WITEC)」を開始したと発表した。
WITECは、MIT、シンガポールの南洋理工大学(NTU)、シンガポール国立大学(NUS)の研究者が参画し、シンガポールのタントクセン病院(TTSH) が臨床協力機関として参加する数百万ドル規模の複数年研究である。シンガポール国立研究財団(NRF)の研究卓越・技術企業キャンパス(CREATE)プログラムの支援を受けて実施される。
本プロジェクトは、生体接着技術を用いて人体に密着させるウェアラブル超音波画像システムの基礎研究と開発に特化した、シンガポール初の研究拠点と位置付けられている。最大48時間にわたり間欠的な心血管イメージングを行い、慢性疾患のモニタリングや診断に関する技術の確立を目指すとしている。
研究拠点には、東南アジアで初めて導入されるNanoscribe Quantum Xサブマイクロメートル3Dプリンターや、シンガポールで初導入となるVerasonics Vantage NXT 256超音波イメージングシステムが整備された。これにより、単一細胞や組織構造レベルでの部品試作や、高度にカスタマイズされた超音波イメージング手法の検証が可能とされている。
また、WITECでは材料科学、医用生体工学、マイクロエレクトロニクス、データサイエンス、人工知能(AI)診断、臨床医学を横断した研究を進め、ウェアラブル超音波画像技術の基盤構築を行う計画である。TTSHは、慢性心血管疾患管理に向けた長期心臓イメージングの検証を目的とした患者試験を実施する予定としている。
(2025年12月10日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部