2026年02月
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生体眼で桿体光受容体の微小運動を初記録 シンガポール南洋理工大学

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は1月8日、NTUが率いる国際研究チームが生きたヒトおよびげっ歯類の眼で、暗所視を担う桿体光受容体が光を感知した際に生じる「瞬間的な微小運動」を初めて記録したと発表した。研究成果は学術誌Light: Science & Applicationsに掲載された。

(出典:NTU)

桿体光受容体は暗い環境での視覚を可能にする細胞で、加齢黄斑変性症など多くの眼疾患で早期に機能低下が起こるとされる。一方で、桿体の働きを測る既存の検査や研究手法は感度に限界があり、患者に不快感を与える場合もあるという。

本研究は、染料やラベルを使わずに眼内細胞の極めて小さな動きを捉えるオプトレチノグラフィー(ORG)を用いた。ORGにより、光が網膜に到達してから約10ms以内に、桿体光受容体が最大約200nm収縮する現象を観測した。研究チームは測定結果と生物物理学的モデリングと組み合わせ、この動きが光感受性分子ロドプシンの活性化に伴って起こり、光刺激が電気信号へ変換される初期過程の一部である可能性を示した。

研究チームは、この非接触・非侵襲の測定で桿体の反応をより直接評価できれば、網膜疾患の早期検出や治療効果の追跡を高感度に行える可能性があるとしている。第三者のコメントとして、ドイツのハイデルベルク大学のヨスト・ヨナス(Jost Jonas)教授は、ORGが生体眼内の細胞構造の動きを非侵襲的にナノスケールで可視化できる点を挙げ、臨床・研究の両面で有望だと述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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