ベトナム科学技術省(MoST)は1月27日、半導体を戦略的技術と位置付け、製造拠点の整備や人材育成を含む半導体エコシステムの構築に向け、包括的な支援メカニズムを展開する方針を示した。
ベトナムでは1月16日、ベトナム軍事産業通信グループ(Viettel)が国内初となる半導体チップ製造工場の建設を開始した。同社は2027年末までに建設完了と技術移転、試験生産を行い、2028~2030年にかけて工程の最適化や生産ラインの効率向上を進める計画である。工場はホアラック・ハイテクパークに建設され、将来的な規模拡大にも対応できる設計とされている。
起工式でファム・ミン・チン(Pham Minh Chinh)首相は、世界の半導体産業の規模が約2.3兆米ドルに達していると述べ、この分野が経済分野にとどまらず、地政学や国家安全保障とも関わる技術分野になっているとの認識を示した。
ベトナムではこれまで、情報技術や電子産業を国家発展の中核に位置付ける政策が進められてきた。2014年の決議36-NQ/TWでは情報技術を「インフラのインフラ」と定義し、2018年の決議23-NQ/TW、2019年の決議52-NQ/TWを通じて優先産業として位置付けてきた。2024年12月の決議57-NQ/TWでは、半導体が初めて段階的に習得すべき戦略技術として明示された。
長年の取り組みにより、ベトナムではチップ設計能力を持つ企業が約60社設立され、半導体エンジニアは約6000人に達している。一方で、首相は国内におけるチップ製造能力の不足を課題として挙げ、今回の製造工場建設が国内バリューチェーン形成において重要な意味を持つとしている。
また、RMITベトナム大学の半導体設計・インダストリー4.0研究グループ責任者であるブイ・スアン・ミン(Bui Xuan Minh)博士は、「ベトナムには資金、技術、人材の3本柱から成る戦略が必要です」と述べ、国家的な半導体エコシステム構築の必要性を指摘した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部