2026年03月
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ベトナム初の無人航空機による海上郵便配送ルート開始

ベトナム科学技術省(MoST)は2月15日、ベトナムのホーチミン市科学技術局が、ベトナム郵政会社(Vietnam Post)およびCT UAV JSC社と連携し、南部のカンザーとブンタウを結ぶベトナム初の無人航空機(UAV)による海上郵便配送ルートを2月12日に開始したと発表した。

この取り組みは、スマートモビリティーの導入を通じてデジタル経済の発展を促し、都市部の道路交通インフラへの負担軽減を目指すものである。プロジェクトは市司令部、第1地域防衛司令部、第370航空師団、カンザーおよびブンタウの地方当局など複数の機関が協力する形で実施された。式典では実際の郵便小包を搭載したUAVがカンザーからブンタウまで飛行し、関係者の前で実証が行われた。

本プロジェクトではベトナム郵政が配送サービス事業者として運用を担当し、配送手順の設計や品質基準の設定、荷物の受け取りと配送を統括する。配送プロセスは同社の物流システムと統合され、荷物ごとにコードを付与して追跡できる「one code - one journey」方式を採用する。初期段階では、書類や電子商取引の荷物など5kg未満の小型小包を主な対象とする。

UAV配送により地理的に離れた地域間の輸送時間短縮が期待されるほか、交通渋滞や道路障害時でも物流機能を維持できる利点がある。また、試験的な運用データを収集することで、スマート物流や低高度空域を活用した経済活動に関する政策整備にも役立つとされる。

安全確保のため、飛行高度は最大200m、飛行回廊の幅は300m、離着陸地点周辺の運用半径は500mと定められている。使用されるドローンは物流用途向けに設計され、航行監視カメラや自律飛行システムを備える。郵便物のほか生活必需品や医薬品、書類などの輸送も可能である。ホーチミン市科学技術局のファム・フイン・クアン・ヒュー(Pham Huynh Quang Hieu)副局長は、この路線は技術の成熟度だけでなく、低高度航空輸送モデルを実環境で運用する能力を示す重要な一歩だと語る。

同市は今後、このモデルを緊急医療輸送や災害対応、スマート都市管理などへ応用できるか検証する予定であり、グリーンで効率的な都市物流ネットワーク構築や将来の低高度航空輸送インフラ整備につながる基盤になるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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