2026年03月
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昆布の栄養吸収性と風味を同時に向上させる発酵技術を開発 シンガポール

この記事はこの記事は2月23日に、NUS Newsに初掲載されました。

シンガポール国立大学(NUS)は2月23日、昆布(Saccharina japonica)の栄養吸収性と風味を同時に向上させる新しい共発酵技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌International Journal of Food Microbiologyに掲載された。

(出典:NUS)

昆布は日本、韓国、中国などで広く食べられている栄養価の高い海藻だが、魚臭や青臭さが強く、消費者の嗜好性が課題とされてきた。また、昆布に含まれる多くの栄養素は硬い細胞壁構造に閉じ込められており、人間の消化過程では十分に分解されず吸収されにくいという問題もあった。従来、昆布に対しては酵素処理や乳酸菌によってタンパク質や炭水化物を分解し、栄養価を高める方法が用いられてきた。しかし、これらの方法では魚臭や青臭さの原因となる化合物を十分に除去することができなかった。

NUSの研究チームは、果実のような香りを生成する酵母を組み合わせ、酵素処理した昆布を乳酸菌と酵母で同時に発酵させる共発酵法を開発した。分析の結果、乳酸菌と酵母の共発酵は乳酸菌のみの発酵に比べてプロバイオティクスの増殖と生存を促進することが分かった。特に乳酸菌L. plantarumと酵母P. kluyveriを用いた組み合わせでは、神経の鎮静やストレス軽減などに関係するとされる生理活性物質γ-アミノ酪酸(GABA)が多く生成された。また、不快な臭いの原因物質が大幅に減少し、バナナや洋ナシを思わせる香り成分が生成されたことも確認された。

(出典:NUS)

NUS理学部食品科学技術学科のリウ・シャオチュアン(Liu Shao Quan)准教授は、昆布はスーパーフードとして大きな可能性を秘めているが、その健康効果を広く届けるには食べやすさと栄養利用性の向上が課題だった。今回、乳酸菌と酵母を組み合わせた発酵により、栄養と風味の両方を改善できた、と説明した。

(出典:NUS)

研究チームは、この発酵昆布を利用して海藻発酵飲料やプロバイオティクスサプリメント、植物由来食品の原料など新しい機能性食品の開発が可能になると期待している。今後は発酵条件の最適化や官能評価を進め、製品化に向けた研究を進めるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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