2026年04月
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光で無抵抗電流の向きを精密に制御 シンガポール南洋理工大学

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は3月11日、光で磁場の向きを切り替えることで、量子材料の端を抵抗なく流れる電流の向きを精密に制御することに成功したと発表した。研究成果は学術誌Natureに掲載された。

左からツァイ・シャンビン(Xiangbin Cai)博士、ガオ・ウェイボ(Weibo Gao)教授、パン・ハイヤン(Haiyang Pan)博士

電子機器の中を流れる電子は通常、抵抗によって熱を生じる。このため、データセンターや量子コンピューターでは冷却に大きな負担がかかる。AIの普及で計算需要が高まる中、熱をほとんど出さずに流れる電流の活用が期待されている。

研究チームが注目したのは、数原子層の極薄材料をわずかにずらして重ねた「モアレ・チャーン強磁性体」である。この材料は中心部が絶縁体である一方、端では電子が自由に流れる性質を持つが、その流れを正確に制御することが課題だった。

チップ上の「モアレ・チャーン強磁性体」
(出典:いずれもNTU)/span>

NTU電気電子工学部のツァイ・シャンビン(Xiangbin Cai)博士らは、円偏光を使って磁場の向きを反転させることで、電子の流れる向きも切り替えられることを示した。携帯用懐中電灯より暗い光を当てると、材料の端を流れる電子は時計回りから反時計回りへ瞬時に反転した。

ガオ・ウェイボ(Weibo Gao)教授は「このような光による電流制御は、物理的な配線を必要とせずに電流の方向を制御できるため、非常に魅力的です」と述べた。パン・ハイヤン(Haiyang Pan)博士は、今回の成果が量子情報処理に重要な現象の探究につながると説明した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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