タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は4月27日、国立ナノテクノロジー研究センター(NANOTEC)が、極暑期の電力消費抑制とクリーン電力の性能向上に向け、産業界での商業化と導入を想定した複数の技術の開発を進めていると発表した。

タイでは毎年4月に極端な暑さが最も深刻になり、家庭、商業施設、工場で空調利用が増えるため、電力消費が年間のピークに達する。この季節的な需要増は、国のエネルギーシステムに大きな負荷を与え、各部門の運用コストを押し上げる。NSTDAは、エネルギー使用量の削減、冷房効率の改善、クリーンエネルギーシステムの性能向上に資する、拡張可能な先端技術が急務だとしている。
NANOTECが開発を進めるのは、熱反射性の外装塗料・コーティング、太陽光パネル用の防塵ナノコーティング、次世代ペロブスカイト太陽電池である。熱反射性塗料・コーティングは、ナノテクノロジーにより高い太陽光反射率と放熱性を実現する。実地データでは、建物表面温度を3~4℃下げ、空調のエネルギー消費を最大15%削減できることが示された。既存の塗料製造工程に適合するため、省エネルギー型の高付加価値製品に展開したい塗料メーカーや建材企業に機会をもたらす。
太陽光パネル用の防塵ナノコーティングは、粉じんの蓄積や環境由来の汚れを大幅に減らし、発電効率を3~30%改善する。通常条件では平均約5%の向上が見込まれる。この技術を2030年までにタイの太陽光発電容量2.5GWに適用した場合、年間197.1GWhのクリーン電力を追加し、7億~8億バーツの経済価値を生むとともに、年間約9万tの炭素排出を削減する可能性がある。

(出典:いずれもNSTDA)
ペロブスカイト太陽電池は、軽量で半透明の薄膜型技術で、フレキシブルエレクトロニクス、スマートIoT(モノのインターネット)機器、建材一体型太陽光発電、携帯型の低消費電力エネルギーシステムに適している。NSTDAは、塗料、建材、太陽光技術、先端エレクトロニクス分野の産業パートナーに共同開発とライセンス供与を呼びかけ、タイのクリーンエネルギー移行、市場競争力の強化、ネットゼロ目標への貢献を目指す。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部