マレーシア科学大学(USM)は5月19日、同大学の研究者らが開発したバイオマス由来の堆肥化可能な農業用マルチング材「POLYNEX」を、第37回国際発明・イノベーション・テクノロジー展示会(ITEX2026)で紹介したと発表した。
POLYNEXは、農業生態系における長期的な土壌汚染やマイクロプラスチック蓄積の原因となってきた従来のポリエチレン製農業用プラスチックへの依存を減らすために開発された。USM材料・鉱物資源工学部のスリマラ・シュリーカンタン(Srimala Sreekantan)教授が主導したもので、果実を取り除いた後の房状残渣やもみ殻など、地域で調達できる農産業由来のバイオマス残渣を活用する。農業廃棄物を、持続可能な農業を支える機能性の堆肥化可能複合材料に転換する点が特徴である。
同研究では、表面アセチル化処理により、バイオマス充填材とポリマー基材の相溶性が高まることも示した。これにより、農業利用に必要な柔軟性と耐久性を維持しながら、作物栽培サイクル後に制御された分解を可能にする。マルチング材の用途に加え、堆肥化可能な植栽用バッグ、工業用ライナー、持続可能な包装材への応用可能性も示している。
同教授は、持続可能な農業技術には、環境への責任と、産業上の実用性、長期的な性能要件との両立が必要だと指摘し、「将来の農業用材料は、生産性を支えるだけでなく、長期的な環境影響を最小限に抑えなければなりません。POLYNEXは、バイオマス工学が、より持続可能で再生的な農業システムにどのように貢献できるかを示すために開発されました」と述べた。
USMのアブドゥル・ラーマン・モハメド(Abdul Rahman Mohamed)副学長は、同技術について、科学の進歩を持続可能性の優先事項や産業変革と結び付ける、研究主導型ソリューションの開発に向けたUSMの取り組みを反映するものだと述べた。USMは、POLYNEXの発表は、変化する地球規模の環境課題に対応するため、科学的卓越性、持続可能性、産業上の妥当性を統合したイノベーションの開発を続ける姿勢を示すものだとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部