インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)は5月21日、ジャカルタのBJハビビ・ビルで開いた研究教授就任の公開審議で、5人の主任研究員が植物分子生物学、環境配慮型有機化学、リモートセンシング、貧困解消、持続可能な原子力エネルギー開発に関する戦略的研究成果について講演したと発表した。
研究教授は、植物分子生物学のN.スリ・ハルタティ(N. Sri Hartati)教授、環境配慮型有機化学のアナスタシア・ウェニ・インドラニンギシ(Anastasia Wheni Indrianingsih)教授、リモートセンシングのラフマット・アリエフ(Rahmat Arief)教授、貧困解消とコミュニティー・エンパワーメントのイスティアナ・ヘルマワティ(Istiana Hermawati)教授、原子力エネルギー応用のシャイフル・バフリ(Syaiful Bakhri)教授である。
ハルタティ教授は、早生樹のセンゴンとマンギウムでキシログルカナーゼ遺伝子とセルラーゼ遺伝子を過剰発現させ、糖化効率とバイオエタノール生産を最大1.4倍高めた研究を示した。4CL遺伝子の発現抑制により、バイオマス分解の妨げとなるリグニン含有量を低下させ、リグニンの組成を変化させることも確認した。
インドラニンギシ教授は、食品包装や健康分野への応用を想定し、インドネシア産植物由来の機能性抽出物を用いたバイオセルロース複合材料を紹介した。同材料は病原性細菌への抗菌活性、保水性、生分解性を示し、金属ナノ粒子の利用で性能向上を図る。
アリエフ教授は、合成開口レーダー(SAR)、偏波解析・干渉解析の手法、人工知能(AI)を統合した解析準備データ(ARD)型のスマート・レーダーリモートセンシングを提案した。洪水、農業、泥炭地、炭素、森林減少、地盤沈下の監視に応用されている。
ヘルマワティ教授は、経済、社会、教育、健康、ジェンダー、技術を含む多次元貧困を取り上げ、インドネシアの社会実態をより正確に反映する多次元貧困指数について説明した。
バフリ教授は、高温ガス炉(HTGR)のPeLUIt-40設計を紹介し、発電、産業用熱供給、グリーン水素生産、遠隔地の脱ディーゼル化に資する可能性を示した。FPGAによるデジタル原子炉保護システムや減圧事故時の受動的安全性検証も重視する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部