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海面上昇に備えハイブリッド型沿岸防護システムを開発・実証 シンガポール国立大学

この記事は5月26日に、NUS Newsに初掲載されました。

シンガポール国立大学(NUS)は5月26日、同大学の研究者らが、海面上昇からシンガポールの沿岸を守るため、人工構造物と自然生態系を組み合わせたハイブリッド型沿岸防護システムの開発と実証に取り組んでいると発表した。

トッド准教授とそのチームは、「グリーン」と「グレー」を組み合わせたハイブリッドシステムが海岸線を保護しつつ、沿岸生態系を回復させる方法を評価するため、現地試験を実施している

2100年までにシンガポールの海面は最大1.15m上昇すると予測されている。極端な気象条件が重なれば最大5mに達する可能性もあり、国土の約30%が平均海面から5m未満に位置する同国では、インフラ、生態系、人々への圧力が高まっている。従来の沿岸防護は防潮堤や防波堤などの「グレー」インフラに依存してきたが、自然のプロセスを妨げ、生態系を損なう可能性がある。一方、マングローブ、湿地、サンゴ礁などの「グリーン」インフラは、波のエネルギー低減、洪水吸収、炭素貯蔵、生物多様性の支援に役立つ。

NUS生物科学科のピーター・トッド(Peter Todd)准教授は、既存の人工海岸線の生態学的機能を高める方法を10年以上研究してきた。現在は、シンガポール公益事業庁(PUB)の沿岸防護・洪水管理研究プログラムの資金を受け、より持続可能な沿岸防護に向けたハイブリッド型グリーン・グレーシステムを開発し、沿岸生物種の成長と生存を最適化する研究を進めている。研究チームは、同システムが海岸線を守りながら沿岸生態系を回復できるかを評価する実証試験も実施している。

研究チームはまず、既存のハイブリッド型解決策とその有効性を調べる。その後、シンガポールの沿岸環境と条件に適した生物種と構造物の最良の組み合わせを決め、衛星画像で導入適地を特定する。同准教授が率いる実験海洋生態学研究室は、海洋生物多様性強化ユニット(Marine Biodiversity Enhancement Units)を開発しており、このハイブリッド型グリーン・グレー構造物は、シンガポールの海岸線で在来海洋生物多様性を高めることに成功している。

トッド准教授率いる実験海洋生態学研究室は、海洋生物多様性強化ユニットを開発した
(提供:いずれもNUS)

同准教授は「ハイブリッド型海岸線の設計と建設は、技術者、生態学者、建築家、計画担当者、さらには社会科学者の知見を必要とする大きな取り組みです。地域の条件、特に流体力学と生態学的プロセスに加え、人間の利用とニーズを理解することが不可欠です」と述べた。また、同准教授はこの研究を通じ、生態学的知見に基づく革新的で費用対効果が高く、持続可能な沿岸防護戦略の開発を目指している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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