この記事は5月28日に、NUS Newsに初掲載されました。
シンガポール国立大学(NUS)は5月28日、NUS教育技術AIセンター(AICET)が開発した生成AI(GenAI)プラットフォーム「ScholAIstic」が、学生の学習を支援し、教員の効果的な授業提供・設計を可能にしていると発表した。
ScholAIsticは、教室での指導と実社会での応用の隔たりを埋めるためのプラットフォームだ。ソクラテス式の問いかけで深い思考を促し、チャットボットとのロールプレーで技能を磨けるようにする。取り組みは2024年5月、AICETとNUS社会福祉学科の連携から始まった。初期プロジェクトは、困難な利用者との場面に対応する技能を身に付けるためのAI搭載チャットボットに焦点を当てた。
同チャットボットは「利用者が泣き始め、目をそらす」といった非言語的手がかりも再現できる。社会福祉学科の科目「SW2105 Values & Skills for Helping Relationships」では、対人援助の場面を模擬し、学生が低リスクの環境で練習し、肯定的な言葉掛けなどに関するリアルタイムのAIフィードバックを受けられるようにした。学生の評価では、臨床現場でサービス利用者と関わる自信が高まったことが示された。

教員がScholAIstic上でホストされているAI搭載チャットボットと会話
歯学分野では、NUS歯学部のリム・リー・ジェン(Lim Li Zhen)博士が担当する科目「OMS3100 Oral & Maxillofacial Medicine, Pathology & Radiology」で、歯科X線画像の異常を認識・解釈する力を高めるために活用している。従来は十分な助言を受ける機会が限られていたため、同学部の教育チームはAICETのン・スック・ムン(Ng Sook Mun)氏と協力し、授業前の体系的な練習と個別フィードバックを可能にした。

学生はチュートリアルセッション中に、リム・リー・ジェン博士と放射線症例について議論し、チャットボットとの会話からフィードバックを得た
(出典:いずれもNUS)
学生は授業前に5つのX線症例に取り組み、病変の記述、分類、根拠を示した鑑別診断の3段階を学ぶ。これにより、同博士は授業中、学生から寄せられた質問への対応や、対面指導に適した発展的内容の説明、誤解やチャットボットの誤りの修正に注力できるようになった。AICETチームは、同プラットフォームの成果でOpenGov Asia Recognition of Excellence Award 2026を受賞した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部