2026年08月
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大地震後の地盤沈下、海面水位予測に影響 シンガポール南洋理工大学

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は7月13日、同大学の研究者らによる国際研究で、東南アジアの大地震後に続く地盤沈下が、地域の相対的な海面水位予測に影響する可能性を明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Communications Earth & Environmentに掲載された。

エマ・ヒル(Emma Hill)教授(右)とグレース・ン(Grace Ng)博士

研究チームは、スマトラ島の火山列の背後に位置するスマトラ背弧地域の地下で、上部マントルにある高温の岩石からなる軟弱な層が大地震後に変形することを突き止めた。この層は固体だが、時間をかけてゆっくり流動できるため、その上の地盤は大地震から何年も後まで移動し、沈み続ける。こうした地震後の地盤変動を海面水位モデルに含めなければ、低地沿岸部の洪水リスクを過小評価する恐れがある。

研究を主導したNTUのシンガポール地球観測所(EOS)のグレース・ン(Grace Ng)博士、アジア環境学部(ASE)のルージア・フェン(Lujia Feng)助教授、ASE学部長兼EOS暫定所長のエマ・ヒル(Emma Hill)教授らは、シンガポール、マレーシア、タイで得られた最長20年分の地盤移動データを解析した。対象は2004年スマトラ・アンダマン地震と2012年ウォートン海盆地震で、震源から600km以上離れた地点でも地盤が動き続けていた。研究者らは地球内部の各層を再現したコンピューターモデルとGPS観測を比較し、この動きはスマトラ背弧下の上部マントルが長期的にゆっくり流動できるほど軟弱な場合にのみ説明できるとした。

図 巨大地震の後も地盤が動き続ける仕組み(生成AIを含むツールを用いて作成した図)
(出典:いずれもNTU)

相対的な海面水位は、特定地点の陸地に対する海面の高さを指す。氷床融解や海洋温暖化が世界的な海面上昇をもたらす一方、地盤が沈下すれば、その地域では海面が陸地に対してより速く上昇する。長期的な地盤変動の理解が進んだのは過去10年ほどで、既存の推定には十分反映されていない可能性がある。同様の現象は世界各地の沈み込み帯でも起こり得る。同教授は「現在の海面水位予測は主に気候要因に重点を置いていますが、足元で地球がどう動くかにも目を向ける必要があります」と述べ、地盤変動をモデルに組み込むことが低地都市の沿岸計画改善につながるとした。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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