2026年09月
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安全で人間中心のAIで建設と都市の課題解決へ シンガポール南洋理工大学

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は8月13日、建設分野で説明可能かつプライバシーを保護し、堅牢な人工知能(AI)の開発を目指す、「建築環境における安全なAI研究プログラム」がネメチェク・イノベーション財団から200万ユーロ(290万シンガポールドル)の寄付を受け、博士課程学生8人に対する奨学金支給と研究推進を行うと発表した。

建設分野では、AIがビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)などに組み込まれつつある。自ら推論・判断し、より自律的に行動するエージェント型AIが、設計、コスト、工程管理、現場の安全にまたがって連携すれば、不整合の特定や問題解決、プロジェクト全期間の意思決定の調整を通じ、生産性向上、コスト削減、安全性強化が見込まれる。一方、自律性の高まりは透明性、説明責任、データプライバシーを巡る問題を生む。NTUは、AI同士が連携しながら、説明・監査が可能で業界標準に適合する仕組みを研究する。

3研究領域の一つ「建設のためのエージェント型AI」では、透明性や説明責任を損なわず、AIが建設作業工程を調整するための評価基準とガバナンス枠組みを開発する。

別の領域では、構造設計の最適化と建物のライフサイクルにわたる排出量追跡で内包炭素の削減を図るほか、プレハブ建設にAIと大規模言語モデルを適用し、BIM、設計最適化、製造工程を改善する。

第3の領域では、物理法則の知見を組み込んだAIで都市の熱をモデル化し、ヒートアイランド現象、エネルギー消費、炭素排出量を減らす方策を特定する。各研究はAIを、建物の設計、建設、運用を改善する実用的なツールへ発展させることを目指す。今回の寄付は同財団にとってシンガポール初の大学提携であり、ドイツ、シンガポール、地域の人材・知識交流の機会も生む。

(出典:いずれもNTU)

同プログラムの主任研究代表者ラム・クォック・イェン(Lam Kwok Yan)教授は、建築環境では物理学、工学、人間行動、環境が相互に関わると指摘。「強力なだけでなく、信頼性と透明性があり、人間中心のAIを開発することが目標です。建設の安全性と生産性を高め、プロジェクトのリスクや廃棄物を減らし、規制順守を支援する可能性があります」と述べた。同財団理事のヨーゼフ・ベック(Josef Böck)博士は、産学連携が責任ある技術開発と、人々、社会、環境に役立つ解決策への転換に貢献すると語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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