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海面上昇でインド太平洋のサンゴ礁76%が水没危機 シンガポール南洋理工大学

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は8月18日、インド太平洋のサンゴ礁の大半が、加速する海面上昇に追いつけるほど速く成長できない可能性があることを研究者らが明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

NTU EOSのリオヴィ・ラモス(Riovie Ramos)研究員(左)とNTU ASEのカイル・モーガン(Kyle Morgan)助教授(右)
(出典:NTU)

研究チームは、インド太平洋の92地点から完新世(約1万1700年前~現在)の古代サンゴ礁の記録288件を収集した。サンゴなど、サンゴ礁を形成する生物が残した硬い骨格炭酸塩の層から、過去の海面変動期にサンゴ礁全体が成長した速さを復元した。サンゴの成長だけでなく、侵食、破壊、溶解、礁を構成する物質の移動も反映した分析により、長期的な礁の成長は海面変動、サンゴ群集、地域の物理的条件の組み合わせに左右されると分かった。

その結果、温室効果ガス高排出シナリオで予測される海面上昇に追いつく能力がない地点は76%に上った。相対的な海面上昇が年5.3mmを超えると、礁が上方への成長を維持できない確率は90%を超え、排出量を大幅に削減しなければ、このしきい値は35年以内に超える可能性が高い。生きたサンゴが直ちに消滅するとは限らないが、礁は次第に深い水中に沈み、海岸を守り、海洋生物に生息環境を提供する浅く複雑な構造を失う恐れがある。

古代の礁は、複雑で大規模な構造をつくる競争力の高いサンゴが主体だったが、現在は小型で攪乱に強い「雑草型」の種が優占する礁が増えている。こうした種は損傷した礁に再定着できる一方、構造を形成する速さや規模が劣る可能性がある。海洋熱波、白化、海洋酸性化、汚染なども、礁の形成・維持能力をさらに低下させ得る。

研究を共同で主導したNTUシンガポール地球観測所(EOS)のリオヴィ・ラモス(Riovie Ramos)研究員は、個々のサンゴが速く成長しても、礁全体が同じ速度で上方へ成長するとは限らないと説明した。NTUアジア環境学部(ASE)副学部長(大学院教育担当)のカイル・モーガン(Kyle Morgan)助教授は、礁の水没が進めば大きな波のエネルギーが海岸に達し、沿岸地域社会のリスクが高まる可能性があると指摘した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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