フィリピン科学技術省(DOST)は8月20日、ディポログ市の7haの養鶏・畜産農場ロックフェラー・ファームが、同省の支援で導入したバイオガス消化施設により、計10万羽・頭を超える鶏と豚の排せつ物を電力と肥料に変換し、悪臭やハエを減らすとともに、月約90万ペソだった電気料金を大幅に削減していると発表した。
同農場では、排せつ物を地下3階分の深さの穴に集める。特定の微生物がふん尿を単純な分子に分解し、別の微生物がそれを消化してメタンなどのガスを放出する。ガスはバイオガス発電機で電力に変換される。容量300kVAの発電機1基で農場全体に15時間給電でき、その能力は農村部の一つのバランガイ(最小行政区)全域を照らすのに相当する。
所有者のレスター・ウイ・オン(Lester Uy Ong)氏によると、施設導入前は、鶏舎・豚舎2棟や選別施設などの稼働に月約90万ペソの電気料金がかかったが、導入後は無料または4万~5万ペソに抑えられる。共同所有者で妻のハイディ・オン(Heidi Ong)氏は、設置理由に悪臭と群がるハエの削減、十分な電力源の確保を挙げた。生産性も向上し、家禽製品や食肉を市内の飲食店に供給し、大手消費者ブランド向けの流通業者と提携するほか、サンボアンガ半島の近隣州、ドゥマゲテ市、セブにも販路を広げている。夫妻は将来の生産拡大を計画している。
施設は高品質の肥料も生産し、農場内で使うほか、従業員の作物用に配布する。農場は環境天然資源省(DENR)の基準に沿って廃水を処理し、特に家畜排せつ物の処理など、農場の維持管理に再利用している。DOSTは主要施策の中小企業技術アップグレード・プログラム(SETUP)を通じ、施設取得に500万ペソを支援した。SETUPは零細・中小企業の生産性と市場競争力を高めるため、設備取得、技術研修、コンサルティング、包装改善に無利子・返済方式の資金を提供する。
レスター氏は、埋立地に同施設と発電機を設置すれば、1カ所で5~10バランガイに給電できる可能性があると説明した。「この施設を他の地域にも広め、埋立地を近代化したいのです。埋立地では、さらに多くのバイオガスを生産できます。実現すれば、周辺地域にとって大きな助けになります」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部