北京便り
トップ  > 中国 コラム&リポート 北京便り >  《第15次五カ年計画》科学技術資金の越境交付・海外使用管理制度の整備を目指す

《第15次五カ年計画》科学技術資金の越境交付・海外使用管理制度の整備を目指す

JST北京事務所 2026年03月27日

 中国の第15次五カ年計画が発表された。

 科学技術については、第3編で取り上げられており、第14次五カ年計画で第2編だったことと比べれば、一つ後ろになっており、産業体系に焦点を当てた編と二つの五カ年計画の間で入れ替わった形だ。

 第15次五カ年計画が記載された第3編は、ハイレベルの科学技術における自立・自強の加速と、新たな質の生産力による発展の牽引をテーマとしている。第14次五カ年計画の第2編はイノベーション駆動による発展と、発展の新たな優位性の全面形成をテーマとしていた。

 国際協力においては、第3編の第9章第3節で取り上げられ、ハイレベルな科学技術開放・協力の新たな枠組みの構築が主題とされている。第14次五カ年計画では、「科学技術開放協力の積極的な促進」が表題だった。「新たな枠組み」として注目を引くのが、科学技術資金の越境交付・海外使用管理制度の確立・整備だ。昨年、上海市が外国籍の研究者を対象とした公募を行ったが、上海に来て研究することを前提とした公募だった。

 今回の科学技術資金の越境交付・海外使用管理制度は、外国にいて使用できる制度を目指しているように受け取れるが、研究費の執行が適切に行われていることのチェック、成果の帰属等が課題となると考えられる。一方、これらについては、外国の国際的な会計事務所の活用や、ある程度当該国のルールを尊重する方法、成果の帰属についても、ゼロか100かではなく、知財収入の分配や納付、地域や自国企業に対するライセンスの権利や数などで柔軟な調整を行うことなどで、実効的な制度を構築できるかもしれない。対象国がどのような範囲になるかはわからないが、制度としては、他国にとっても参考になることであり、また科学研究や知財の活用における国家間の垣根を減らすことにつながると思われ、興味深い。

 併せて、科学研究データの越境における安全かつ秩序ある流動メカニズムを確立・整備するという。これも大切な課題だ。これらを通じて、自国の重要な科学研究インフラやプラットフォームを世界中の科学者が利用できるようにしていくという。

関連記事

2025年10月29日 北京便り「上海市、海外若手研究者との国際共同研究を公募開始

 

上へ戻る