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中国、基礎研究の強化進む 制度整備や支援拡大

JST北京事務所 2026年04月01日

 中国は2025年、研究開発経費(3.92兆元)に占める基礎研究費の割合が過去最多の7.08%となり、基礎研究・フロンティア研究で一連の独創的成果が生まれた。中国網が科技日報の報道を転載して伝えた。以下、その概要をまとめる。

 2025年に開かれた中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)では、基礎研究と独創的イノベーション能力の強化を、国の第15次五か年計画(「十五五」)の重要目標の一つとして位置づけ、基礎研究費の比率引き上げや、長期的な支援拡大などの方針を立てた。

 2025年1月に施行された改定後の「国家自然科学基金条例」において、科学基金の多様化投入制度の充実、創造的研究への奨励、若手人材育成に資する特定資金の設置など、基礎研究支援に向けたトップダウンの制度設計が進められている[1]

 また、地域的な基礎研究支援策も各地で講じられている。例えば、上海では、企業の基礎研究投入を後押ししたり、社会資金で実施される基礎研究に対して、基金投入額の50%を共同支援するなどによって、企業が基礎研究への投資と意思決定の主体となるよう系統的な奨励策を推進している。

 ネイチャーインデックス2025のリサーチリーダーズランキングにおいて、中国は世界1位を維持し、他国との差も拡大した。研究面では、「祖沖之3号」超伝導量子コンピューターの誕生、月の裏側の変遷史の解明、ブラックホールが宇宙の『スーパー粒子加速器』であることの解明、脳の新生ニューロンによる中枢神経疾患治療法の確立、単細胞から完全な植物体への発達原理の解明、大面積の二次元金属材料の作製など、さまざまな分野で多くの成果が生まれている。

 中国で基礎研究がこうした実績を上げていることについて、世界知的所有権機関(WIPO)チーフエコノミストのCarsten Fink氏は、「中国政府が進めてきたイノベーション体系の整備と、それに対する継続的な注目や支援が重要な役割を果たしている」と評価した。また、長年基礎研究に従事してきた上海交通大学材料科学・工学学院長の戴慶教授は、「中国で独自性のある成果が生み出されている背景には、絶えず最適化される研究体系、持続的に拡大する若手人材の育成、研究助成費の安定的な配分などがある」と語った。


1 国家自然科学基金委員会「2025年度国家自然科学基金改革举措

参考リンク

 

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