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中国科学院、動作範囲が-70℃から80℃のリチウムイオン電池を開発

JST北京事務所 2026年04月08日

 中国科学院深圳先進技術研究院が開発した新型リチウムイオン電池が、中国製電気自動車(EV)を用いた極寒環境での実車搭載試験を完了した。黒竜江省黒河市で実施された試験では、平均気温が氷点下25℃の環境に24時間以上置いた車両でも、市街地での実走行条件で92%以上の放電効率を示した。また、低温下での急速充電にも対応しており、電池残量を90%まで回復させるのにかかった時間は約20分だったという。科学網が伝えた。

 中国は地域によって気候差が大きく、北部は冬に厳しい寒さに見舞われるが、南部では夏季の高温環境への対応も求められる。このため、幅広い温度帯で安定して使える電池技術の開発が課題となってきた。

 研究チームは、従来のリチウムイオン電池が極端な環境では性能が大きく低下してしまうことを踏まえ、より高いエネルギー密度と広い作動温度範囲を両立する電池の開発を10年近く進めてきた。目標の一つは、氷点下40℃でも高い性能を維持できるリチウムイオン電池を実現することだった。

 今回試験に用いられたのは、アルミ負極を採用した新型の広温度域対応リチウムイオン電池である。研究チームによると、この技術により動作温度範囲が氷点下70℃から80℃に広がったという。

 同電池はこのほど、中国国家知識産権局の「特許の移転・活用に関する優秀事例」に選ばれた。すでに中国北部では、スマートグリッド監視やクリーンエネルギーの大規模蓄電といった分野でも導入が進んでいるという。

 同研究院カーボンニュートラル研究所の蒋春磊副所長によると、今後も宇宙開発や南極観測など、過酷な環境での利用を視野に入れ、関連技術と製品の研究開発、実用化を進めるという。

 なお、JSTでは以前、「大型バス用燃料電池の水管理と低温起動性に関する研究」に関する日中共同研究を採択しており、こちらのURL で事後評価報告書を読むことができる。

 

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