中国、「AI+教育」行動計画を公表―人材育成から教育ガバナンスまでの包括戦略
Science Portal China編集部 2026年04月20日
中国教育部など5部門は4月、連名により、「『AI+教育』行動計画」を公表した。本計画は、「教育強国」戦略および国家レベルの「AI+」政策を踏まえ、AIを教育分野に体系的に導入するための包括的枠組みを示したものである。最大の特徴は、教育のデジタル化を超え、教育システムそのものの再設計を志向している点にあり、教育内容や方法にとどまらず、人材育成、研究、教育ガバナンスまで、AIを中核技術として組み込む構想が示されている。
主な内容:
1)人材戦略:AI人材の「全社会的育成」
本計画は「全学段・全社会」を対象としたAI人材の育成を打ち出している。初等・中等教育ではAI教育の体系的なカリキュラム化を通じて基礎的素養の底上げを図り、高等教育ではAIを共通基礎科目として位置づける。さらに、職業教育や社会人教育にも対象を広げ、AIに関する基礎能力を社会全体に浸透させる方向性を示している。
2)教育現場の変化:AIによる学習と教育の再構築
教育の実施プロセスにおいてもAIの導入が進められる。学生に対しては、学習履歴や能力に応じた個別最適化型の学習支援が想定されている。従来の一律的な教育からの転換が図られる。一方、教師については、授業準備や評価、学習分析などへのAI活用を通じて業務負担の軽減と教育の高度化が期待されている。加えて、教師のAIリテラシー向上や評価・資格制度への組み込みも想定されており、教育人材そのものの再設計が進められる点も特徴的である。
3)教育ガバナンスの高度化:データ駆動型への転換
本計画には、教育分野のデータを統合・分析し、政策立案や資源配分を最適化する「教育スマートブレイン」の構築が掲げられている。これは、人口動態や産業構造の変化を踏まえた人材需給の予測、教育資源の配置、評価システムの高度化などを可能にするものであり、教育行政の意思決定がデータ駆動型へと移行する構想である。
4)研究とイノベーション:知識創出の新たな基盤
研究分野においてもAIの役割は拡大する。科学研究における仮説生成やデータ分析、実験設計へのAI活用を通じて、新たな研究パラダイムの構築が目指されている。教育と研究の双方で、AIが知識創出の基盤として機能する構造が描かれている点は注目に値する。
5)基盤整備と安全性:インフラからの再構築
これらの取り組みを支えるため、本計画では基盤整備にも重点が置かれている。教育専用の計算能力基盤やデータ基盤の構築に加え、国家主導による教育向け大規模モデルの開発が打ち出されており、重複投資の回避や資源の効率的活用が意図されている。さらに、標準化や安全管理体制の整備も進められ、AIの教育利用に伴う倫理・安全性の確保も重視されている。
参考リンク
- 中華人民共和国中央人民政府「教育部等五部门关于印发《"人工智能+教育"行动计划》的通知」
